国を挙げて健康経営を推すようになってからしばらく経ちますが、その意味や導入方法を正しく理解できている方はまだ少ないでしょう。
そこで本記事では、健康経営とは何かという基礎知識から導入方法はもちろん、導入することで得られるメリットまでわかりやすく解説します。
年々、健康経営優良法人の認定を受ける企業は増えており、またそれを取り上げるメディアも多くあります。
「企業の魅力度を高めたい」や「競合他社に対して優位性を持ちたい」と考えている経営層の方は、早い段階で健康経営に取り組むのがおすすめです。
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目次
健康経営とは?
「健康経営®」とは、従業員のヘルスケアを経営的な観点から戦略的に行うことを指します。1992年、アメリカの臨床心理学者であるロバート・H・ローゼン博士が、著書のなかで言及したことから広まったといいます。
日本でも健康経営の概念が広まったのは、2006年のこと、「NPO法人 健康経営研究会」の発足がきっかけです。生産年齢人口(15~64歳)が、大きく減少し始めた時期と重なっています。
健康経営というと非常にざっくりとしていますが、わかりやすく例を挙げると、以下の取り組みは健康経営の一環といえるでしょう。
- ワーク・ライフ・バランスを実現するための働き方改革
- 社内カウンセラーの導入
- 健康診断費用の支給
- 健康に配慮した社員食堂や仕出し弁当の支給
- 運動場・サークルの設置 など
健康経営を行う最大のメリットは、将来的な収益性および企業価値の向上です。
従業員の健康増進は、働く活力につながるだけでなく、会社に対する帰属意識を生みます。すると、一人ひとり生産性が高まるうえ、人材の定着も望めるでしょう。
また、現在は国を挙げて健康経営を推しており、2016年には「健康経営優良法人認定制度」も始まりました。
健康経営優良法人として選ばれたあかつきには、専用のロゴマークが使用できるほか、国の補助金・助成金や融資制度を利用する際にインセンティブが得られます。
企業価値の高さを目に見える形で提示することで、社会的なイメージアップおよび優秀な人材の獲得にも好影響を得られるでしょう。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
健康経営が注目されるようになった背景
国を挙げて推進するほど健康経営が注目されるようになったのには、以下のような背景があります。
- 【背景①】少子化や高齢化などによる生産年齢人口の減少
- 【背景②】ワーク・ライフ・バランスの推進をはじめ働き方改革が促進
- 【背景③】国民医療費の増加
少子化および高齢化をはじめ、時代の移り変わりにより、企業に求められる要素に大きな変化が現れているのです。
逆にいえば、昔のままの働き方や福利厚生を続けていては、「将来性がない」と従業員や消費者に見放されてしまう恐れがあるでしょう。
※各背景については、企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)(経済産業省)や健康経営の推進について(経済産業省)を加工して作成
【背景①】少子化や高齢化などによる生産年齢人口の減少
日本では少子化が進んでいますが、これに伴い生産年齢人口(15~64歳)が、2050年には2020年と比べて30%以上減少すると考えられています。(出典:健康経営の推進について/経済産業省)
生産年齢人口が減少した場合、より一層の人手不足が起こるでしょう。
よって健康経営を行い、一人ひとりの従業員に対して「長く健康に働いてもらう」ことが、今後は特に重要になると考えられています。
【背景②】ワーク・ライフ・バランスの推進をはじめ働き方改革が促進
過去の日本では、「仕事を最優先すること」が美徳とされてきましたが、昨今は一人ひとりのワーク・ライフ・バランスが重視されるようになってきました。
技術の発展に伴いさまざまな働き方をしやすくなったことや、女性の社会進出が進んだことによって、人々の意識に変化がもたらされたためでしょう。
ワーク・ライフ・バランスとは、仕事とプライベートの調和を差す言葉ですが、そのためには心身の健康が重要です。現代に合わせた働き方改革のために、健康経営を意識する企業も増えているでしょう。
【背景③】国民医療費や介護保険給付の増加
こちらも少子高齢化に伴うものですが、国民の医療費や介護保険など、社会保障給付による財政圧迫が日本の大きな課題となっています。
2040年には社会保障給付費は2025年に比べて35%増、金額にして50兆円の負担増加になる予想です。
国としては、「企業の手も借りて国民の健康を増進することで、相対的に社会保障の利用頻度を減らす」ことが重要であると考えています。
どのような企業が健康経営を導入したらよいか?
健康経営を導入すべき企業は、現代であれば全企業でしょう。しかしなかでも導入による効果が高いのは、以下6つのケースに当てはまる企業です。
- 【ケース①】離職者数が多い・離職率が高い
- 【ケース②】労働時間や拘束時間が長い
- 【ケース③】従業員の年齢層が高い
- 【ケース④】健康診断の結果が良くない
- 【ケース⑤】従業員サーベイや従業員満足度調査のスコアが低い
- 【ケース⑥】体調面やメンタル面で調子を崩す従業員がいる
※各ケースについては、企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)(経済産業省)を加工して作成
【ケース①】離職者が多い・離職率が高い
離職者数が多い、または離職率が高い企業では、従業員の帰属意識が薄いと考えられます。
人は相手から何かを与えられると、それが良いものであれば良いものを悪いものなら悪いものを返したい気持ちを抱く(返報性の原理)といわれています。
健康経営に取り組むことで、「この会社は自分のためになることを考えてくれている、そして与えてくれる」と従業員に思わせられれば、帰属意識が高まり、離職者を減らせるでしょう。
【ケース②】労働時間や拘束時間が長い
労働時間や拘束時間が長い企業に対して、従業員は不満やストレスを抱えやすいでしょう。十分な休暇が取れなければ、心身の健康にまで影響を及ぼしかねません。放っておいては、生産力の低下や離職につながります。
早急に、健康経営を基にした働き方改革に取り組むのが望ましいでしょう。
【ケース③】従業員の年齢層が高い
従業員の年齢層が高い場合、定年だけでなく、急な病気やけがなどによる休職や離職が頻発する恐れがあります。
健康経営に取り組むことで、生涯現役で働いてもらうための環境づくりが必要でしょう。健康増進のための福利厚生を設けるのもそうですが、年を重ねても活力を持って取り組める働き方や評価制度も適切取り入れたいところです。
また、良い職場環境を整えられれば、若年層の人材も獲得しやすくなります。
【ケース④】健康診断の結果が良くない
健康診断の結果があまり良くない場合は、従業員の健康意識が低いと考えられます。病気による休職や離職が起こりやすい環境だといえるでしょう。
禁煙や運動不足の解消を推進するような福利厚生を設けたり、ヘルスケアシステムを導入したりなど、日常的に健康意識を高められる健康経営を検討してみると良いでしょう。
【ケース⑤】従業員サーベイや従業員満足度調査のスコアが低い
従業員サーベイや従業員満足度調査のスコアが低いケースもまた、帰属意識が低く、離職を招きやすい状況です。
職場環境や福利厚生など、さまざまな面に課題を抱えていると考えられます。健康経営に沿って、多角的な企業改革を行うのがおすすめです。
需要に合わせた改革が重要となるため、従業員サーベイや従業員満足度調査の結果もぜひ反映させましょう。
【ケース⑥】体調面やメンタル面で調子を崩す従業員がいる
体調面やメンタル面で調子を崩している従業員がいる場合、当人だけでなく周囲の離職リスクも高める恐れがあります。一人の生産性低下または急な休み・早退などによるしわ寄せで、周囲も疲労やストレスをため込みやすいためです。
ヘルスケアシステムの導入や、社内の相談窓口およびカウンセラーの配置など、問題となっている従業員だけでなく、全社員が活力を持って働ける環境づくりを健康経営の理念に沿って行いましょう。
健康経営の導入メリットとは?
健康経営を導入することで得られるメリットは、主に以下の6つです。
- 【メリット①】離職率の低下や定着率の向上が期待できる
- 【メリット②】労働生産性や就労意欲の向上が期待できる
- 【メリット③】応募数の増加など、採用活動の強化が期待できる
- 【メリット④】会社のイメージアップが期待できる
- 【メリット⑤】医療費の軽減が期待できる
- 【メリット⑥】「認定制度」に関連したメリットが期待できる
いずれもすぐに効果を実感できるものではありませんが、安定した経営基盤を築くうえでは欠かせない要素だといえるでしょう。
以下でメリットの詳細を解説しますが、記載している調査結果は全て、経済産業省が2024年3月に発行した「健康経営の推進について(経済産業省)」を参照しています。
より詳しく調査結果を確認したい方は、参照元もご確認ください。
※そのほか、各メリットについては、企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)(経済産業省)を参照のうえ作成
【メリット①】離職率の低下や定着率の向上が期待できる
健康経営を導入すると、離職率が低下することが、経済産業省の調べによって判明しています。全国の平均離職率は11.1%ですが、健康経営に取り組む企業はそれを大きく下回る傾向にあります。
- 健康経営銘柄2023に選ばれた企業の離職率…2.2%
- 健康経営優良法人2023に選ばれた企業の離職率…4.6%
- 健康経営度調査を受けている企業の離職率…4.6%
このような結果が出たのは、健康経営が安心して働ける環境づくりにつながったためでしょう。
特に、個々の事情に応じてフレキシブルな働き方が可能な環境を用意することは重要です。従業員の年齢や考え方、プライベートの変化が起きたとしても、離職をせずに済むような施策ができると、なお高い効果を見込めます。
【メリット②】労働生産性や就労意欲の向上が期待できる
健康経営は、労働生産性や就労意欲の向上が期待できます。これは単純に従業員の帰属意識の高まりによるものだけではありません。健康経営によって心身の健康が保たれることや、働きやすい環境が整えられることで、集中力を維持しやすくなることも大きいでしょう。
また健康経営では、従業員のコミュニケーション促進も重視されています。従業員同士の関係性が良好になり、会社全体が活性化することも、労働生産性や就労意欲の向上につながるでしょう。
事実、健康経営を導入してた場合、企業業績や株価の上昇が起こりやすいことがさまざまな調査結果で示されています。
【メリット③】応募数の増加など採用活動の強化が期待できる
健康経営を取り入れる企業は、採用活動に強いといわれています。採用活動の際にアピールできるのも大きいですが、大手転職サイトやハローワークでも健康経営に力を入れている企業を推す流れが生まれているためです。
また2023年9月に日経新聞社が、就活生と転職者に行ったアンケートによると、「企業が健康経営に取り組んでいることが就職先の決め手になる」と回答した人が全体の約6割でした。
【メリット④】会社のイメージアップが期待できる
健康経営は就活生や転職者だけでなく、社会全体に対する会社のイメージアップ効果を生むといわれています。
例えば取材をはじめとしたメディア露出が増えたり、講演依頼が増えたりしている企業はすでにあります。国を挙げて推している経営方針であるからこそ、注目度が高いのでしょう。
また健康経営を導入していることの認知度が高まれば、取引先や投資家などからも信用を得やすくなります。
【メリット⑤】医療費の軽減が期待できる
健康経営を行うことで従業員の健康が増進すれば、企業が一部を負担している医療費の削減にもつながるでしょう。
- メタボ該当率
- 喫煙リスク者率
- 空腹時血糖値リスク者率
- 脂質異常症リスク者率
- 血圧リスク者率
【メリット⑥】「認定制度」に関連したメリットも期待できる
健康経営優良法人認定制度による認定を受けた場合、企業のイメージアップ以外にもさまざまなインセンティブが得られます。
国の補助金や助成金、融資制度などを有利な条件で利用しやすくなるため、特に中小企業は積極的に活用したいところです。
健康経営の始め方とは?(導入手順)
健康経営は、これといった型が決まっているものではありません。導入する際には、以下の手順で自社に合った経営方針を固めたうえで取り組むのが良いでしょう。
- 【ステップ①】経営理念や方針の一部として明文化する
- 【ステップ②】実行力のある組織体制を構築する
- 【ステップ③】従業員の健康状態を把握する
- 【ステップ④】計画や目標を立てて、施策を実行する
- 【ステップ⑤】取り組みについて評価を行い、PDCAを回していく
なお、「何から手をつけて良いか分からない」「取り組んでもうまくいかない」というときには、中小企業診断士や社会保険労務士など、外部の専門家を頼るのもひとつの方法です。
※各ステップについては、企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)(経済産業省)を加工して作成
【ステップ①】経営理念や方針の一部として明文化する
まずは経営理念や方針の一部として、明文化を行いましょう。健康経営は、経営のトップはもちろん、会社全体の意識改革が重要であるためです。
また、社内だけでなく、社外(リクルート市場、投資家などステークホルダー全般)に対しても分かりやすく伝える必要があります。
明文化するうえで特に意識したいことは、以下の2点です。
- 体系的であること
- ストーリー立てた説明であること
取り組み内容を示すだけでなく、「健康経営によって、経営理念や事業計画に示された目的を達成できること」をしっかりと伝えることが大切です。
健康経営の導入は自社ブランディングのターニングポイントと捉え、取り組みましょう。
【ステップ②】実行力のある組織体制を構築する
次に、組織体制を構築しましょう。健康経営を総括する専門部署や職員をまずは配置し、施策から効果検証まで確実に取り組める環境を作ることが大切です。
組織が一丸となって健康経営に取り組めるように、研修も実施しましょう。
また、臨床心理士や労働衛生コンサルタントなど専門家が必要になるケースもあります。適切、採用活動を行いましょう。
【ステップ③】従業員の健康状態を把握する
効果的な健康経営を実施するには、従業員の健康状態を把握しなくてはいけません。これまでの健康診断や従業員満足度調査などのデータを用いて、課題を明らかにしましょう。
従業員の健康状態を把握するうえで活用できるデータ例は、以下の通りです。
- 定期健康診断の結果
- 従業員満足度調査の結果
- 協会けんぽや健康保険組合などが保有する審査結果や治療内容などの情報
- 労働時間や職場環境に関する情報
健康に関する各種情報と、労働時間や職場環境を照らし合わせることで、具体的な施策を立てやすくなります。
なお協会けんぽや健康保険組合などとは、施策の検討、実行、検証に至るまで、適切に連携を行いましょう。
【ステップ④】計画や目標を立てて、施策を実行する
施策の実行に移る前に、計画や目標を立てましょう。取り組みの効果検証および改善が行いやすくなるためです。
施策の評価指標は、まず構造・過程・成果といった3つの視点に分け、それぞれ細かな項目を設けるのが良いでしょう。効果検証に活用することから、なるべく定量的に判断可能な項目にするのがおすすめです。
目標や評価指標に悩んだときは、健康経営優良法人の認定基準(経済産業省)を参考にするとイメージがつかみやすいでしょう。
【ステップ⑤】取り組みについて評価を行い、PDCAを回していく
施策の実行後は、定期的に効果検証を行いましょう。
先に定めた評価指標に沿って効果検証をし、その都度、改善を施します。こうしてPCDAを回し続けた先に、健康経営の実現があります。
健康経営を進める上で活用したい〝認定制度“
健康経営を進めるのであれば、ぜひ「健康経営優良法人認定制度」を活用しましょう。
健康経営優良法人認定制度とは、健康経営が特に優秀な企業を表彰する制度です。優良企業を称える認定制度はさまざまありますが、健康経営優良法人認定制度は「日本健康会議」といって、国の制度であるのが大きなポイントです。
健康経営優良法人の認定を受けた企業は、優良企業であることを社会に幅広くアピールできるほか、国の補助金や助成金、融資制度などにおいて優遇されます。
また、健康経営優良法人認定制度に申請すると、フィードバックシートが送付されます。たとえ認定を得られなかったとしても、具体的な改善策を練りやすくなるでしょう。
なお、健康経営優良法人認定制度には以下の通り、さまざまな部門があります。
- 健康経営優良法人
- 健康経営優良法人ホワイト500/健康経営優良法人ブライト500
- 健康経営銘柄
※こちらのコンテンツは、健康経営優良法人認定制度(厚生労働省)などを加工して作成
「健康経営優良法人」とは?
健康経営優良法人とは、認定基準を満たした企業に与えられる表彰です。大規模法人部門と中小規模法人部門があり、それぞれ認定までの工程はやや異なりますが、基本の認定基準は変わりません。
健康経営を行うのであれば、以下の認定基準を参考にして、施策を検討すると良いでしょう。
認定必須項目
- 健康宣言を社内外に発信している
- 経営者自身が健診を受けている
- 健康づくり担当者を設置している
- 保険者と連携し、求めに応じては40歳以上の従業員の健診データを提供している
- 従業員の健康管理に関連する法令を守り、重大な違反をしていない
制度・施策実行における認定要件①
※このうち2項目以上を満たすこと
- 定期健診受診率が実質100%である
- 受診推奨の取り組みをしている
- ストレスチェックを実施している
- 健康増進や過重労働防止に向けた具体的な目標および計画を行っている
制度・施策実行における認定要件②
※このうち1項目以上を満たすこと
- 管理職や一般社員に対して健康経営の研修を実施している
- ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みをしている
- 職場におけるコミュニケーションの促進に向けた取り組みをしている
制度・施策実行における認定要件③
※このうち3項目以上を満たすこと
- 保健指導を行っている、または特定保健指導を受ける機会を提供している
- 食生活の改善に向けた取り組みをしている
- 運動機会の増進に向けた取り組みをしている
- 受動喫煙対策をしている
- 従業員の感染症予防に向けた取り組みをしている
- 過重労働の対策をしている
- 従業員のメンタルヘルスケアに向けた取り組みをしている
※各種認定必須項目や認定要件については、健康経営優良法人認定制度【認定基準】(経済産業省)を加工して作成
「健康経営優良法人ホワイト500」「健康経営優良法人ブライト500」とは?
一般の健康経営優良法人認定よりも強くアピールできるでしょう。
「健康経営銘柄」とは?
健康経営銘柄とは、健康経営優良法人の認定において健康経営度が上位20%かつ上場企業を対象とした認定制度です。
そのうえ原則、1つの業種につき1社のみの選定(経済産業省と東京証券取引所による共同選定)であるため、厳しい門といえるでしょう。
しかし認定を受けた場合には、長期的に企業価値の向上が見込める企業として、投資家から高い評価を受けやすくなります。
健康経営に活用できる補助金/助成金
健康経営を導入および実行するには、まとまった資金が必要になります。
そこで、資金繰りに活用しやすい補助金や助成金の一例をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
- 業務改善助成金…生産性向上に向けた投資(設備、教育など)に利用可能
- 働き方改革推進支援助成金…労働時間や環境改善に向けた投資(設備、教育、採用など)に利用可能
- 人材確保等支援助成金…離職率の低下や定着率の向上に向けた投資全般に利用可能
- 受動喫煙防止対策助成金…喫煙室の設置費用に利用可能
- 両立支援等助成金…ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた投資(出産、育児、介護関連など)に利用可能
- くるみん助成金…ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた投資(出産、育児関連など)に利用可能
- 65歳超雇用推進…定年の引き上げや廃止に向けた投資に利用可能
- エイジフレンドリー補助金…高齢層の従業員向け健康経営の実現に向けた投資に利用可能
健康経営につながる「おすすめ退職金制度」とは?
健康経営のためには退職金制度の充実も欠かせません。
ここでは、中小企業も導入できるおすすめの退職金制度や企業年金制度を紹介します。
中小企業も導入できる退職金制度
中小企業も導入できる退職金制度として、「はぐくみ企業年金」「企業型確定拠出年金」「中小企業退職金共済」の3つの候補を紹介します。
まず、下表をご覧ください。
主要退職金制度の比較
はぐくみ企業年金 | 企業型確定拠出年金 | 中小企業退職金共済 | |
---|---|---|---|
根拠法 | 確定給付企業年金法 | 確定拠出年金法 | 中小企業退職金共済法 |
任意加入 | 可能 | 可能 | 全員加入 |
加入年齢 | 70歳未満 | 70歳未満 | 制限なし |
加入制限 | 役員も拠出可 | 役員も拠出可 | 役員は拠出不可 |
税制優遇 | 有り | 有り | 有り |
社会保険料 | 軽減可 (※1) | 軽減可 (※2) | 軽減不可 |
掛金拠出 | 会社の実質的な負担を抑制 (※1) | 会社が負担 (※2)
(会社負担分は損金計上可) |
会社が負担 (会社負担分は損金計上可) |
拠出金 上限/月 | 1,000円~給与の20% (上限40万円) | 1,000円~55,000円 ※iDeCoと併用の場合、上限額が変わります | 5,000円~30,000円の16段階 (※3) |
運用 |
基金が資産を運用 |
加入者が資産を運用 | 機構(※4)が資産管理・運用 |
受給額 | 運用成績により変動しない | 運用成績により変動する |
運用成績により変動しない |
受取り | 一時金又は年金/ 退職時、休職時、 育児・介護休業時にも受取り可能 | 一時金又は年金/ 但し、原則60歳以上に制限 | 一時金又は分割払い/ 退職後に受取り可能 |
※2:「選択制」を採用した場合、軽減できることがあります。
※3:パートタイマーなど短時間労働者の場合、特例掛金月額として2,000円から可能になります。
※4:ここでは「独立行政法人 勤労者退職金共済機構」のことを「機構」といいます。
おすすめは「はぐくみ企業年金」
はぐくみ企業年金は、現在、導入企業や加入者が急増している注目の企業年金・退職金制度です。
選択制などの制度設計により、会社負担を少なく始められるなど、従業員、経営者、会社それぞれにメリットが生まれるとてもおすすめの制度です。
(参考記事:はぐくみ企業年金にはどのようなメリットやデメリットがあるのか?)
まとめ記事で11の選択肢を紹介
こちらのまとめ記事で、退職金制度の選択肢を11件まとめて紹介しています。
他の制度のメリットやデメリットを体系的に比較・検討することができます。
※こちらの記事は2024年9月時点の情報を参照の上、執筆しております。
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