50年以上の歴史を誇る運送会社の強みは「ドライバーの質」
本日はよろしくお願いいたします。まずは御社の会社概要や事業の特長などについて教えてください。
菅井社長(以下、社長):当社は東松島市で地元の合板会社様の荷物を運ぶ運送会社として創業しました。現在では合板をはじめとして各種積み荷を全国に輸送する運送業と、製品を保管する倉庫業などがメインの事業です。昨日(取材日の前日の2024年11月13日)が、ちょうど創業のタイミングだったのですが、今年で53年目を迎えました。
建築資材として使用された使用済みの型枠合板などの回収のニーズがあったため、産業廃棄物収集運搬業の免許を取得してサービスの提供を開始したり、東日本大震災の後、FIT(固定価格買取制度)が制定され再生可能エネルギーに注目が集まる中で、自社が保有する物件の大きな屋根や敷地を活用した太陽光発電事業もスタートするなど、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしています。
メインの運送事業においては、同業他社とどのような差別化を図っているのでしょうか。
社長:強みとしては、創業から多くを占めている合板の輸送で、積み方や取り扱い方に長けているドライバーが多いです。27トンの大型トレーラーに自社のノウハウを駆使して効率よく積むことで、大量輸送で輸送単価を下げることができてお客様からも喜ばれています。
また、弊社が大事にしているお客様との共存・共栄の精神で長くやってきており、ドライバー教育もそれを軸に実施しているため、ドライバーの質を褒められることが多いです。その点も当社の強みの一つだと考えています。
2024年問題にも対応、従業員とともに時代に合った変革を続ける
ドライバーそのものが強みというのは素晴らしいですね。今年に入って、2024年問題ともいわれるドライバーさんの残業規制が始まり、業界的に広く影響があったのではないかと思いますが、御社や社員の方々に何か影響は感じられましたか?
取締役管理本部長 高橋様(以下、高橋様):弊社では、社員の負担軽減と法改正の対策として長距離の運転で残業時間が多くなりすぎないように、仙台市内や栃木県の矢板市に新たに拠点を設ける準備をしてます。仙台が年明け、矢板市は来夏に稼働開始予定で準備を進めています。
拠点を設けることで、中継地点を作ることで各方面への移動の負荷を減らすわけですね。
社長:はい、そういった法改正に対応するのは当たり前ですが、採用力の強化のために、働き方改革に対応するだけでなく、採用コンサルを導入するなど、会社として相当な時間と費用をかけてきました。その結果、うれしいことに20代~30代の若いドライバーさんに毎月のように入社していただいています。
法改正や労働人口の減少などで業界全体で経営が難しくなるなかで、適応して変革していく必要がありますが、新しい人材の採用や新しい車両の導入などを通じて既存の社員も刺激を受け、その結果、会社の雰囲気が変わっていくような今の状況は良い流れだと考えてます。
「社員のため」が「会社のため」になる、今後も色々な取り組みを実現したい
ドライバーさんの採用は難易度が高い印象がありますが、毎月のように採用できているとはすごいですね!御社ではそういった人材を採用し定着させるために、どのようなことに取り組んでらっしゃるんですか?
社長:まだまだ理想の状態には程遠いんですが、様々な取り組みを考えていまして、今回のはぐくみ企業年金の導入もその一つです。ほかには、細かいことですが、ユニフォームや仕事に必要なものをきちんと会社から支給するとか、大型牽引やフォークリフトの免許取得や研修費用を会社負担にするとか、車両も新しいものを定期的に導入するなどが挙げられます。ほかの業界では当たり前のようなことも、運送業界ではまだまだ徹底できている企業は多くはないようですが、うちはそういう方針でやってきています。
免許の取得や研修費用の負担は、既存メンバーのスキルアップにもつながりそうですね。
高橋様:弊社では社員の健康にも配慮していまして、法定の健康診断の受診はもちろんですが、今後は歯科検診を追加して、公休扱いで受けられるようにしたいと考えてます。
他にも、ドライバーという仕事は休日が少ないイメージがありますが、もう少し休みを増やして行きたいと考えてます。
また、社員の疲れを少しでも癒せるように休憩室にマッサージチェアを置いたり、食生活が偏りがちなドライバーのために、食事の一部を会社負担で提供することも始めてます。
社長からは、社員食堂やトレーニングジム、女性社員のための託児所など、色々な構想が挙がっています。
社長:そのようなことを色々と考えてはいます。何年後になるかわかりませんが一つ一つ実現していきたいです。今はまだ道半ばですが、現時点でお客様からほめていただける社員が多く採用でき、定着してもらえてるとするならば、その理由はこれまで社風を作ってきてくれた社員の皆さんのおかげなんだろうなと思ってます。
上手に将来のための貯えを作る手段だけでなく、金融リテラシー向上も社員のため
社長:知らないことで損をすることって、世の中にたくさんありますよね。例えばiDeCoやNISAなどのサービス一つ取ってもそうです。自分の収入や手取りを増やす方法がありますし、昔と違ってそういう情報に簡単にアクセスできる時代ですが、うちのドライバーなんかは知らないんですよね。給料が1万円上がるのはうれしいけど、金融知識で生涯の手取りを増やすことにはあまり関心がないんです。
はぐくみ企業年金のサービス導入企業様でも、導入するまで従業員の方々が自分事じゃないと感じていたという話はよく聞きます。
社長:自分たちで収入を増やせるのに知らないからやらない、というのはもったいないですよね。そういうメンバーが自分事にするきっかけになってもらえたら良いな、という想いと、これから新卒採用をしていく際には、そういう制度があるのが当たり前と思っている方も多いでしょうし、そういう方に安心して来てもらいたいという想いで今回導入を決めました。
そもそもの導入に至るまでの流れはどのような感じだったのでしょうか?
高橋様:最初は社長が見つけて、話を振ってもらいました。その後、管理本部の責任者の私と事業本部の本部長とで、はぐくみ企業年金についての詳しい話をお聞きしました。協議の結果、自社にも導入メリットがありそうだと判断したため、導入に値するということを社長に上申しました。
詳細を聞く前、はぐくみ企業年金に対して、どのような印象でしたか?
高橋様:正直なところ、最初は半信半疑なところはありましたが、担当の方が丁寧に説明してくれて、詳細をお聞きしたことで良い制度であることがわかりました。
もともとNISAやiDeCoなどは知ってましたが、自分で運用する制度だと金融知識に自信がないので減ったらいやだなという気持ちがありました。その点、はぐくみ企業年金は元本保証※で利息もつくので安心でしたし、わたし個人としては一度支給された給与から貯金するのがなかなか難しかったのですが、支給前に積み立てられるので確実に将来のための貯蓄ができ、いつか自分が退職や長期休業の必要がでた際に手元に帰ってくるということで、魅力的な制度だと感じました。
※運用実績により不足が生じた場合は、事業主が不足分を補てんします。
業界平均を上回る高い加入率には理由があった!「はぐくみ企業年金」導入の裏側
高橋さん自身に良いと感じて頂けたからこそ、社内への発信もポジティブに伝わったことで高い加入率につながったのかもしれませんね。
高橋様:結果的にメリットを理解して多くの社員が加入したわけですが、導入の旨を最初に社内に話した際には半信半疑な社員も多かったです。それに弊社は運送業で男性社員が多いので奥さんの理解も得られないと判断できないというメンバーも多かったですし。
社員が家でうまく説明できるとも限らないですし、私からはここだけはしっかり伝えようと決めて発信した点は「加入するチャンスは4回しかない」という点でした。この4回を逃すとその後は入りたくてもは入れないよ、とそこだけはしっかり伝えました。最低1,000円から加入できるし、年に2回は金額変更できるから、迷ったらとりあえず1,000円だけでも入っておくと良いよ、と。
その甲斐もあって、多くの社員の方に利用してもらえたんですね。
高橋様:当初、半分くらいの社員が入ればよいかな、と思っていたのにそれを大きく上回る社員が加入したことについては、自社の働きかけもそうですが、ベター・プレイスの担当の方の説明も丁寧でわかりやすかったことも要因の一つだと思います。説明会の開催にあたって、色々とサポートもいただきましたし、その節はありがとうございました。
お力になれたようであれば良かったです!導入後、社員の方からの声ってお聞きになったりしましたか?
社長:まだ導入して間もないですし、中長期で効果を実感していくものだと思うので、直接社員からの声は耳に入ってきてはないのですが、興味を持って加入した社員が多いので今後、効果を実感してもらえることに期待したいです。
「地域No1」と「株式上場」の2つを目指す
それでは最後に、貴社の今後の展望を教えてください。
社長:国内の労働人口が減少する中、他の業界と同様に、物流業界も難しい環境にあります。その中で我々のような地方企業が生き残るには、まずは「地域No.1」になる必要があると考えてます。
地域No.1の達成に加えて、もう一つ「株式上場」を、自分の代で成し遂げたいと考えていまして、そのためにはドライバーの確保だけでなく、自分自身も含めた役員や管理職の質も上げていかなくてはなりません。
人材を外から採用するだけでなく、社内で育てていくことも踏まえて、2~3年後には新卒採用も始める予定ですし、地方の中小企業が優秀な人材の採用をするためには、やはり環境面や制度面も充実させていく必要があります。
今回のはぐくみ企業年金の導入もその一つとして効果を発揮してもらえると嬉しいです。
弊社のサービスが、社長が成し遂げたい2つのことの実現に少しでもお役に立てたらうれしいです。本日はありがとうございました。
まとめ
菅井社長は、経営者として人の重要性を強く認識されているだけでなく、社員が「どうしたらうれしいかな」ということを考え様々なアイデアを出されていて、今後もさらに働きやすい会社になっていくのだろうと感じました。
また導入にあたっては、管理本部長の高橋様が強い推進力を持ってご対応されたとのことで、運送業界の平均を2割以上も上回る高い加入率の理由は導入を担当される方のお力添えのおかげであると改めて感じました。ありがとうございました。