福利厚生特集

健康経営優良法人の認定基準や要件とは? 2025年度のケースも紹介

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健康経営優良法人の顕彰を受けるための認定基準は、申請部門によって異なるほか、評価項目が多岐にわたります。

さらには、例年の結果や社会情勢を鑑みて、内容が見直されることもあります。
実際、2025年度は新たな顕彰枠が設けられたり、小規模法人特例が試験的に導入されたりといった変更がありました。

そこで本記事では、最新の内容を基に、認定基準や要件を細分化して解説します。

健康経営優良法人の顕彰を受けるべく、施策に取り組もうと考えている経営層の方は、ぜひご一読ください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事は経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」、「健康経営の推進について」、「ニュースリリース」、また「健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト『ACTION!健康経営』」を加工して作成

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「健康経営優良法人」とは?

健康経営優良法人とは、日本健康会議(※)が設けた認定基準を満たした企業にだけ与えられる顕彰のひとつです。

(※)日本健康会議とは、一般社団法人 日本経済団体連合会や日本商工会議所など、複数の民間組織によって形成された団体です。

健康経営優良法人として認められた企業は、専用ロゴマークの使用が許され、自社の広告・宣伝にも使用できます。
また、自治体や金融機関と好条件で契約を結べたり、地域独自の表彰・PRをしてもらえたりといったインセンティブもあります。

詳しくは、こちらの「健康経営優良法人は意味ない? メリット/デメリットを解説」の記事もご覧ください。

※本見出しは小見出しも含め、経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」や「ニュースリリース」を加工して作成

健康経営優良法人 認定制度とは?

健康経営優良法人認定制度とは日本健康会議が認定する顕彰制度で、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、社会的な評価を受けられる環境の整備を目的としたものです。

2014年度から上場企業を対象に「健康経営銘柄」が選定されました。
2016年度からは「健康経営優良法人認定制度」が推進され、大規模法人部門の上位層には「ホワイト500」、中小規模法人部門 の上位層には「ブライト500」の冠が付加されました。

健康経営優良法人「ホワイト500」「ブライト500」とは?

健康経営優良法人 ホワイト500やブライト500の違いは、次の通りです。

  • 「健康経営優良法人 ホワイト500」…大規模法人部門に申請し、認定された企業のなかでも上位500位に選ばれた場合の顕彰
  • 「健康経営優良法人 ブライト500」…中小規模法人部門に申請し、認定された企業のなかでも上位500位に選ばれた場合の顕彰
  • 「健康経営優良法人 ネクストブライト1000」…中小規模法人部門に申請し、認定された企業のなかでも上位501位~1,500位に選ばれた場合の顕彰 ※2025年度より新設

詳しくは、こちらの「ホワイト500とは? ブライト500との違いについても解説」の記事もご覧ください。

「健康経営優良法人」の認定基準

健康経営優良法人の認定基準は、次の5点です。

  • 経営理念
  • 組織体制
  • 制度・施策実行
  • 評価・改善
  • 法令遵守・リスクマネジメント

大規模法人部門も中小規模法人部門も、こちらの大項目は変わりません。
異なるのは、これらを評価する際に使用する評価項目と、認定されるうえで満たさなくてはいけない評価項目の数です。

認定基準の細かな要件は、次の見出しから順に解説します。

「健康経営優良法人2025」の認定基準【参考まで】

ここからは「健康経営優良法人2025」の認定基準について、部門別に解説します。

健康経営優良法人の認定基準は、毎年、見直されて申請時期に合わせて公開されます。

実際、2025年度は、新たな冠「ネクストブライト1000」の追加や、小規模法人向けに認定基準の緩和が取り入れられました。

これから公開される「健康経営優良法人2026」でも、何かしらの変更がある可能性はゼロではありません。
こちらの情報はあくまで参考として、ご覧ください。

※本見出しは小見出しも含め、ACTION!健康経営の「申請について」や、経済産業省の「ニュースリリース」を加工して作成

「大規模法人部門」の認定基準

大規模法人部門の認定基準は、次の通りです。

※出典:ACTION!健康経営の「申請について」の資料を引用して掲載

通常の認定(冠なしの健康経営優良法人)と、ホワイト500の認定では、要件が一部異なります。

大項目ごとに評価項目の詳細を見ていきましょう。

経営理念の評価項目

  1. 健康宣言の社内外への発信(アニュアルレポートや統合報告書等での発信)
  2. 従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示
  3. トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること

このうち健康経営優良法人の認定を受けるために必須となるのは、1の項目のみです。
健康宣言に関する社内外への発信にしっかりと取り組んでさえいれば、満たせるでしょう。

ホワイト500の認定は、1~3まで全てが必須となります。

組織体制の評価項目

  1. 健康づくり責任者が役員以上
  2. 健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・頻度
  3. 産業医・保健師の関与
  4. 健保組合等保険者との協議・連携

このうち健康経営優良法人の認定を受けるために必須となるのは、1・3・4の項目です。
会議の質や量に関しては多くを求められないようですが、そのほか健康経営に取り組むための基盤は万全に整える必要があるでしょう。

ホワイト500の認定は、1~4まで全てが必須です。

制度・施策実行の評価項目

制度・施策実行の評価項目は多いため、2つに分けて見ていきましょう。
なお、通常の認定でも、ホワイト500の認定でも、要件(必須項目および、満たす必要のある項目数)に違いはありません。

健康経営優良法人およびホワイト500の認定を受けるには、まず次の2点を満たす必要があります。

  1. 健康経営の具体的な推進計画
  2. 受動喫煙対策に関する取り組み

さらに以下の項目のうち、13項目以上を満たす必要もあります。

  1. 定期健診受診率(受診率100%)
  2. 受診勧奨の取り組み
  3. 50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
  4. 管理職又は従業員に対する教育機会の設定
    ※「従業員の健康保持・増進やメンタルヘルスに関する教育」については参加率(実施率)を測っていること
  5. 適切な働き方実現及び育児・介護の両立支援の取り組み
  6. コミュニケーションの促進に向けた取り組み
  7. 私病等に関する復職・両立支援の取り組み(⑬以外)
  8. 保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
    ※「生活習慣病予備群者への特定保健指導以外の保健指導」については参加率(実施率)を測っていること
  9. 食生活の改善に向けた取り組み
  10. 運動機会の増進に向けた取り組み
  11. 女性の健康保持・増進に向けた取り組み
  12. 長時間労働者への対応に関する取り組み
  13. メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
  14. 感染症予防に関する取組
  15. 喫煙率低下に向けた取り組み

認定を受けるには、さまざまな種類の施策を実施する必要があるでしょう。

評価・改善の評価項目

評価・改善の評価項目は、「健康経営の実施についての効果検証」のみです。
施策を実施するだけでなく、効果検証および結果に基づいた改善を繰り返しましょう。

通常の認定でも、ホワイト500の認定でも、必須です。

法令遵守・リスクマネジメントの評価項目

法令遵守・リスクマネジメントの評価項目は、労働基準法や労働安全衛生法に違反していないか等、根幹的な部分です。

詳細は、申請書の誓約事項欄に記載されています。
仕様上、誓約の署名をしたうえで申請することで、自動的に要件を満たしているとみなされます。

「中小規模法人部門」の認定基準

中小規模法人部門の認定基準は、次の通りです。

※出典:ACTION!健康経営の「申請について」の資料を引用して掲載

2025年度から中小規模規模法人部門には、小規模法人特例が試験的に設けられるようになりました。

小規模法人の基準は、中小企業基本法に基づきます。
具体的には、製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では従業員5人以下が対象です。

また、大規模法人部門同様、通常の認定(冠なしの健康経営優良法人)と、ブライト500やネクストブライト1000の認定では、要件が一部異なります。

大項目ごとに評価項目を見ていきましょう。

経営理念の評価項目

経営理念の評価項目は、「健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の健診受診」のみです。

いずれの認定を受ける場合にも、必須となっています。

組織体制の評価項目

  1. 健康づくり担当者の設置
  2. (求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供

いずれの認定を受ける場合も、以上2点は必須です。

健康経営の具体的な施策に取り組む担当者を置く必要があります。

制度・施策実行の評価項目

いずれの認定を受けるにしても必須となるのは、「受動喫煙対策に関する取り組み」です。

そのほか以下16の項目は、特例が適用された場合や、ブライト500の場合などで要件が細かく異なります。

  1. 健康経営の具体的な推進計画
  2. 定期健診受診率(受診率100%)
  3. 受診勧奨の取り組み
  4. 50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
  5. 管理職又は従業員に対する教育機会の設定
    ※「従業員の健康保持・増進やメンタルヘルスに関する教育」については参加率(実施率)を測っていること
  6. 適切な働き方実現及び育児・介護の両立支援の取り組み
  7. コミュニケーションの促進に向けた取り組み
  8. 私病等に関する復職・両立支援の取り組み(⑬以外)
  9. 保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
    ※「生活習慣病予備群者への特定保健指導以外の保健指導」については参加率(実施率)を測っていること
  10. 食生活の改善に向けた取り組み
  11. 運動機会の増進に向けた取り組み
  12. 女性の健康保持・増進に向けた取り組み
  13. 長時間労働者への対応に関する取り組み
  14. メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
  15. 感染症予防に関する取組
  16. 喫煙率低下に向けた取り組み

小規模法人特例が未適用の場合は、まず1が必須です。
さらに2~4のうち2項目以上、5~8のうち1項目以上、⑨から⑯のうち4項目以上をそれぞれ満たす必要があります。

小規模法人特例が適用された場合は、1~4のうち2項目以上、5~8のうち1項目以上、⑨から⑯のうち3項目以上をそれぞれ満たす必要があります。

ブライト500やネクストブライト1,000に選ばれるには、1が必須、2~16のうち13項目以上を満たす必要があります。

評価・改善の評価項目

評価・改善の評価項目は、「健康経営の実施についての効果検証」のみです。
施策を実施するだけでなく、効果検証および結果に基づいた改善を繰り返しましょう。

小規模法人特例を含む、全ての認定において必須です。

法令遵守・リスクマネジメントの評価項目

法令遵守・リスクマネジメントの評価項目は、労働基準法や労働安全衛生法に違反していないか等、根幹的な部分です。

詳細は、申請書の誓約事項欄に記載されています。
仕様上、誓約の署名をしたうえで申請することで、自動的に要件を満たしているとみなされます。

「健康経営優良法人2025」の申請や手順について【参考まで】

ここでは健康経営優良法人2025の情報を基に、スケジュールや手順、申請料など、申請時に必要な基本情報を解説します。

スケジュールや申請料は実施年度によって異なることがあるので、参考までにご覧ください。

※本見出しは小見出しも含め、ACTION!健康経営の「申請について」を加工して作成

「大規模法人部門」の場合

業種 企業名
申請期間 2024年8月19日(月)~2024年10月11日(金)17時 締め切り
申請から認定までの流れ ACTION!健康経営」ポータルサイトより申請→審査→認定という流れになります。

※詳しくは、ACTION!健康経営の「申請について」ページにある「申請から認定までの流れ」の項目を参照ください。

認定申請料 80,000円(税込88,000円)/件
スケジュール 上記申請期間の締め切り後、審査期間を経て2025年3月ごろに結果が発表・通知されます。

※詳しくは、ACTION!健康経営の「申請について」ページにある「スケジュール」の項目を参照ください。

【注意】「健康経営優良法人2025」の募集は終了しました(2024/10/11締切)

健康経営優良法人2025の申請期間は、2024年8月19日(月)~2024年10月11日(金)です。

申請する場合には、この期間内に申請書および調査票を用意し、「ACTION!健康経営」ポータルサイトを介して提出する必要があります。

申請完了後は審査が随時、進められ、12月ごろには速報版のフィードバックシートが届きます。
それから翌年の2月には内定が届き、3月に正式な結果発表が行われたのち、完全版のフィードバックシートが送付されるといったスケジュールです。

なお、認定申請料の支払いは、申請と同時ではありません。
申請した年の11月ごろに請求書が送付されてくるので、書類に従って、支払いを済ませましょう。

「中小規模法人部門」の場合

業種 企業名
申請期間 2024年8月19日(月)~2024年10月18日(金)17時 締め切り
申請から認定までの流れ 健康宣言事業への参加または自社で健康宣言を行う→「ACTION!健康経営」ポータルサイトより申請→審査→認定という流れになります。

※詳しくは、ACTION!健康経営の「申請について」ページにある「申請から認定までの流れ」の項目を参照ください(中小規模法人部門のタブより)。

認定申請料 15,000円(税込16,500円)/件
スケジュール 上記申請期間の締め切り後、審査期間を経て2025年3月ごろに結果が発表・通知されます。

※詳しくは、ACTION!健康経営の「申請について」ページにある「スケジュール」の項目を参照ください(中小規模法人部門のタブより)。

【注意】「健康経営優良法人2025」の募集は終了しました(2024/10/18締切)

部門が異なっても、概ねのスケジュールは変わりません。

健康経営優良法人2025の場合だと、申請期間は2024年8月19日(月)~2024年10月11日(金)です。期間内に申請書と調査票の提出を済ませましょう。

申請完了後は随時、審査が進められますが、中小規模法人部門の場合、速報版のフィードバックシートが結果発表までに届くことはありません。

8月~10月までの期間内に申請をして、11月に認定申請料を支払い、翌年3月ごろに結果発表といったスケジュールです。

また、3月の結果発表時点で送付されるフィードバックシートも、ブライト500に選ばれた企業にしか送られません。
ブライト500から漏れてしまった場合には、評価結果のみの送付となります。

健康経営優良法人と一緒に検討したい「おすすめ退職金制度」とは?

健康経営優良法人と合わせて検討したい、おすすめの退職金制度や企業年金制度を紹介します。

主な候補となる退職金制度

原則、会社の規模を問わず導入できる退職金制度として、「はぐくみ企業年金」「企業型確定拠出年金」と、主に中小企業向けの「中小企業退職金共済」の3つについて紹介します。
まずは、下表をご覧ください。

主要退職金制度の比較

はぐくみ企業年金 企業型確定拠出年金 中小企業退職金共済
根拠法 確定給付企業年金法 確定拠出年金法 中小企業退職金共済法
任意加入 可能 可能 全員加入
加入年齢 70歳未満 70歳未満 制限なし
加入制限 役員も拠出可 役員も拠出可 役員は拠出不可
税制優遇 有り 有り 有り
社会保険料 軽減可 (※1) 軽減可 (※2) 軽減不可
掛金拠出 会社の実質的な負担を抑制 (※1) 会社が負担 (※2)
(会社負担分は損金計上可)
会社が負担
(会社負担分は損金計上可)
拠出金 上限/月 1,000円~給与の20% (上限40万円) 1,000円~55,000円 ※iDeCoと併用の場合、上限額が変わります 5,000円~30,000円の16段階 (※3)
運用

基金が資産を運用

加入者が資産を運用 機構(※4)が資産管理・運用
受給額 運用成績により変動しない 運用成績により変動する

運用成績により変動しない

受取り 一時金又は年金/ 退職時、休職時、 育児・介護休業時にも受取り可能 一時金又は年金/ 但し、原則60歳以上に制限 一時金又は分割払い/ 退職後に受取り可能
※1:「選択制(既存の給与の一部を前払い退職金に変更し、従業員ひとり一人がその前払い退職金の受取り方を選択できる制度)」による効果です。はぐくみ企業年金は選択制の採用を前提としています。
※2:「選択制」を採用した場合、軽減できることがあります。
※3:パートタイマーなど短時間労働者の場合、特例掛金月額として2,000円から可能になります。
※4:ここでは「独立行政法人 勤労者退職金共済機構」のことを「機構」といいます。

おすすめは「はぐくみ企業年金」

はぐくみ企業年金は、現在、導入企業や加入者が急増している注目の企業年金・退職金制度です。
選択制などの制度設計により、会社負担を少なく始められるなど、従業員、経営者、会社それぞれにメリットが生まれるとてもおすすめの制度です。

まとめ記事で11の選択肢を紹介

こちらのまとめ記事で、退職金制度の選択肢を11件まとめて紹介しています。
他の制度のメリットやデメリットを体系的に比較・検討することができます。

 

※こちらの記事は2025年3月時点の情報を参照の上、執筆しております。
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