節税について

全額損金として算入できる3つの経費!法人保険など節税メリットのある方法の紹介

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事業の発展は望ましいことですが、反面、税金の支払い負担が目に見えて増えることは多くの経営者を悩ませることでしょう。

そこで本記事では、自社に合った節税方法を選ぶための知識として、かかった経費を全額損金として算入できるものを3つ解説します。

各解説項目では全額損金にできる条件だけでなく、「経費をかけることで得られる経営上のメリット」までまとめました。節税に留まらず、自社の課題改善にまでつながる方法を模索できるでしょう。

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全額損金とは

まず損金とは、税務上で用いられる費用のことを指します。損金が企業会計上の費用と違う点は、算入可能な内容が法人税法で厳密に定められていることです。

会計上は費用として処理できる科目であっても、法人税法では経費に含まれないことがしばしばあります。

また、ひとつの科目にかかった費用であっても、損金として認められる範囲が限定的であることもあります。

よって、「原則、すべての費用を損金算入してよい(全額損金)」と定められた科目は、使い方によっては大きな節税メリットを得られるでしょう。

たとえば退職金制度の一部は、事業主掛金を全額損金にできます。従業員の満足度を高めながら節税が実現できるので、事業の発展により法人税がかさみ始めた企業におすすめです。

法人保険(一部)の保険料は全額損金にできるものの節税に不向き

法人保険とは、法人が契約者(かつ保険料の負担者)となる生命保険を指します。一部の法人保険の保険料は損金算入が可能であり、過去には全額損金保険まで登場し、多くの企業で節税のために用いられてきました。

しかし、全額損金保険を筆頭に法律の穴をつくような保険商品が出回ることは、本来望ましいことではありません。2019年7月には税制が改正され、現在は全額損金にできる条件が厳しく定められています。

ここでは節税目的に特に使われやすい定期保険と第三分野保険について詳しく解説しますが、これらの保険は保険期間中の最高解約返戻率に応じて、損金算入割合が決定されるようになりました。

最高解約返戻率 保険期間開始直後 保険期間の40%経過後 保険期間の75%経過後
50%以下 全額損金算入
50%超

70%以下

損金算入:60% 全額損金 全額損金算入したうえで、資産計上したぶんを取り崩して損金算入
70%超え

85%以下

損金算入:40% 全額損金 全額損金算入したうえで、資産計上したぶんを取り崩して損金算入
85%超 損金算入:10% 損金算入:30%

資産計上:70%

全額損金算入したうえで、資産計上したぶんを取り崩して損金算入

たとえば最高解約返戻率が80%の保険契約では、契約からしばらくの間は支払保険料の40%のみが損金算入の対象です。残りの60%は資産計上します。

保険期間の4割経過後は支払保険料の全額を損金算入でき、7.5割の期間経過後にはこれまで資産計上していた金額もすべて損金算入が可能になります。

このように法改正後の法人保険は、「短期的な節税には不向き」です。むしろ契約直後は、税負担が重くなる恐れがあります。

また、法人保険を解約した際の解約返戻金は雑収入の扱いとなり、課税対象です。つまり、法人保険の毎月の掛金に対しては全額損金として計上できますが、最終的な解約を行った際の解約返戻金については課税されるため結果として節税メリットは限定的です。

以上のことから、節税を目的に法人保険を用いることはあまりおすすめできません。解約返戻金が必要なケース(赤字の際の補填、経営者に万が一のときがあったときの備え、退職金の準備など)に利用するのが適切でしょう。

法改正後もすぐに支払保険料を全額損金にできる法人保険の例

2019年7月の法改正後も契約直後から保険料を全額損金として算入できるのは、以下の契約内容に当てはまる法人保険のみです。

保険の種類 全額損金が可能な契約内容
定期保険
  • 保険期間中の最高解約返戻率が50%以下である
  • 保険期間中の最高解約返戻率が50~70%以下かつ被保険者1人あたりの保険料が年間30万円以下である
終身型の第三分野保険(がん保険、介護保険、傷害保険など) 短期払い契約かつ被保険者1人あたりの保険料が年間30万円以下である
養老保険 満期保険金の受取人が役員・従業員である

養老保険は受取人が役員・従業員の場合に限り、保険料を全額損金にできますが、給与扱いです。受取人である役員や従業員は、税金や保険料の支払い負担が増します。

全額損金として算入できる経費3選

全額損金として算入でき、かつ節税のために利用しやすい経費は主にこちらの3つです。

  1. 退職金制度(一部)の掛金
  2. 役員・経営者を含む社員への給与・賞与
  3. 交際費

自社の状況に応じて、メリットの高い商品や制度、また導入方法を検討してみるとよいでしょう。

退職金制度(一部)の掛金

退職金制度の一部は、事業主掛金を全額損金として算入できます。

退職金制度は福利厚生のひとつであり、従業員が安心して働ける環境づくりに役立つでしょう。

節税方法を検討しており、かつ「優秀な従業員の獲得および離職率の低下」や「生産性の向上」が課題に挙がる企業には、退職金制度の導入がおすすめです。

はぐくみ企業年金という企業年金制度の場合

企業年金制度とは企業が社員に対して年金を支給する制度を指します。さまざまな制度がありますが、「はぐくみ企業年金」は事業主掛金が全額損金にでき、かつ従業員側のメリットも高いのでおすすめです。

はぐくみ企業年金は、厚生年金の適用事業所であれば、原則、業界や業種を問わずに加入できます。掛金は月100万円を上限として、1,000円単位で給与の20%まで自由に設定できるので、中小企業であっても導入しやすいでしょう。

老後のための資産形成を基本とした制度ではありますが、老齢給付(年金形式)だけでなく、退職や休職時の脱退一時金にも対応しています。

このように、はぐくみ企業年金は、企業だけでなく従業員にとっても魅力度が高い制度です。ある企業では、はぐくみ企業年金の導入から1年で離職率が19.9%から15.4%まで低下、採用コストは前年度比で約2,300万円削減となっています。

詳細ははぐくみ企業年金の詳細ページをご参照ください。

企業共済の制度の場合

企業共済を用いた退職金制度もまた、事業主掛金を全額損金として算入できます。

  1. 経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)
  2. 小規模企業共済
  3. 中小企業退職金共済

ここでは主な企業共済制度として、3つを解説します。

1.経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)

経営セーフティー共済とは、中小企業の連鎖倒産(主に取引先の倒産により売掛金が回収できず倒産すること)を防ぐために作られた制度です。

無担保・無保証人で納付掛金の10倍を限度にお金を借り入れられる制度であり、基本的には万が一の備えとして使われますが、退職金の原資準備にも活用できます。

経営セーフティー共済には解約手当金があり、自己都合による解約でも納付月数が40ヵ月以上であれば、掛金全額が受け取れます。

解約手当金が掛金を上回ることはないので、「内部保留で経営者自身の退職金の原資準備ができる」場合の節税目的におすすめの制度です。

掛金は月20万円を上限とし、5,000円単位で自由に設定できます。中小企業だけでなく個人事業主も加入できますが、業界や業種によって資本金や従業員数の上限が定められています。

詳細は経営セーフティー共済公式ページをご参照ください。

2.小規模企業共済

小規模企業共済とは、個人事業主のほか小規模企業の経営者や役員の退職金を準備するための制度です。

経営セーフティー共済と異なり、退職金の準備が主目的の制度であり、解約時には納付月数に応じて80~120%相当の手当金を受け取れます。

納付月数が240ヵ月(20年)未満で任意解約(退職および廃業時)した場合には元本割れするので、長期的な契約を前提として加入するのが一般的です。

納付掛金に応じた貸付制度も多数用意(一般貸付け、緊急経営安定貸付け、傷病災害時貸付けなど)されていますが、経営セーフティー共済に比べると多額は借り入れづらいでしょう。

掛金は月7万円までを上限とし、1,000円から500円単位で自由に設定できます。個人事業主は原則、加入可能です。経営者や役員は小規模企業勤めだと認められる場合のみ、加入可能です。

詳細は小規模企業共済公式ページをご参照ください。

3.中小企業退職金共済

中小企業退職金共済とは、中小企業向けの退職金制度です。国が管轄する制度であり、加入から一定期間は掛金に対して助成金が支給されます。発展途上の中小企業であっても導入しやすいでしょう。

支給の年齢制限がないので、退職時にも給付金を受け取れる点は従業員にとってもメリットです。

ただし、前述のはぐくみ企業年金と異なり休職時の脱退は認められず、掛金の納入中断扱いとなります。

さらに納付月数が12ヵ月未満の場合は給付なし、12ヵ月以上24ヵ月未満の場合は給付額が納付掛金を下回るなどの難点もあります。

掛金は16パターンから従業員ごとに選択でき、最低5,000円、最高は30,000円です。アルバイトやパートタイムなど短時間労働者に関しては、2,000円、3,000円、4,000円の掛金設定もできます。

加入条件(中小企業の定義)は、業種によって資本金や従業員数の上限が定められています。

詳細は中小企業退職金共済公式ページをご参照ください。

役員・経営者を含む従業員への給与・賞与

従業員の給与や賞与は、全額損金として算入できます。ただし従業員の立場によって、全額損金にするための手続きや条件が異なるので、注意しましょう。

一般的な従業員(アルバイトやパートタイムなども含む)の給与や賞与に関しては、特にこれといった手続きは不要です。

一方、役員や経営者の場合、以下3つのいずれかに当てはまっていなくては、給与や賞与を全額損金にはできません。

  • 定期同額給与(支給時期が一定期間かつ支給額が同額などいわゆる給与然としたもの)である
  • 事前確定届出給与(納税地の所轄税務署長に届け出た「事前確定届出給与に関する届出書」通りの支給に該当するもの)である
  • 業績連動給与(報酬委員会の客観的な指標に基づくもの※有価証券報告書に記載必須)である

いずれかに当てはまるとして損金算入した場合でも、税務署から「当てはまらない」または「不正の疑いあり」とみなされた場合には、該当する給与のみならず年度分すべての給与が損金不算入とされかねません。税理士に相談のうえで手続きするのが無難でしょう。

給与や賞与の支払いに経費をかけることは、従業員満足度を大きく高めてくれるでしょう。

ただし、給与アップには大きな経費がかかるだけでなく、保険料の増額により法定福利費の支払い負担までもが増えます。結果として、従業員満足度の向上には給与アップよりも福利厚生の導入を検討する企業も多いようです。

交際費

交際費の税務上における取り扱いは、企業規模によって異なります。交際費を全額損金とできるのは、まず個人事業主です。

次に、期末の資本金額もしくは出資金の額が1億円以下の企業であれば、年間800万円以下の交際費は全額損金として算入できます。

いずれにも当てはまらない企業の場合は、交際費のうち「接待飲食費×50%」までは損金算入が可能です。

なお、税務上で認められる交際費とは、国税庁が定義する接待交際費に限られます。原則、事業に関係する者との飲食や贈答品の受け渡しでなくては、認められません。

なかでも飲食費に関しては、詳細内容(年月日、費用額、開催地の名称・住所、支払先の情報、参加者の人数・氏名・関係性など)を記録していない場合には、交際費と認められないので、気を付けましょう。

さらに以下は、交際費に含まれません。

  • 従業員を対象とした慰安にかかった費用(慰安旅行、運動会など)
  • 参加者1人あたりに対する費用が5,000円以下の飲食費※会社役員や従業員およびその親族への接待は可
  • 会議で用いた飲食物(茶葉や茶菓子、弁当など)の購入費
  • 一部の贈与品(社名入りカレンダーや手帳、うちわなど)の購入費
  • 取材に必要な費用

従業員を対象とした慰安にかかった費用は、福利厚生費に計上します。

参加者1人あたりに対する費用が5,000円以下の飲食費や、会議で用いた飲食物の購入費は会議費です。

社名入りのカレンダーや手帳などの購入費は広告宣伝費、取材に必要な費用は取材費にそれぞれ計上します。

交際費に費用をかけることは、取引先をはじめとした事業関係者との関係性に好影響を与えるでしょう。

まとめ

かかった費用を全額損金にできれば、企業の税負担を大きく軽減できるでしょう。しかし、節税だけを目的として特定の経費を増やすことはあまりおすすめできません。

まずは自社の課題を明確にし、課題解決に役立つ方法のなかから節税にもつながる方法を模索するのが適切でしょう。

従業員の満足度向上やそれに伴う離職率の低下および優秀な従業員の獲得を求めているのであれば、退職金制度の導入がおすすめです。特に中小企業は退職金制度が充実した企業が少ないため、競合他社に差をつけやすいでしょう。

なかでも、はぐくみ企業年金は掛金が全額損金にできるだけでなく、金額設定が1,000円から給与の20%まで(100万円上限)と幅広く、企業規模に関わらず導入しやすいのが特徴です。

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