はぐくみ企業年金特集

はぐくみ企業年金のデメリットとは? デメリットに絞って解説

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はぐくみ企業年金には、メリットだけでなくどのようなデメリットがあるのでしょうか。

このページでは、おもなデメリットに絞って、「加入者からみたデメリット」「会社や法人からみたデメリット」に分けて解説します。

なお、メリットとデメリット両面の解説については、こちらのページを参照ください。

 

加入者側のデメリット

加入者からみたデメリットは次のとおりです。

【デメリット①】社会保障給付(公的保険給付)が少なくなる可能性がある

加入者からみたデメリットとして、社会保険から受け取る給付(公的保険給付)が少なくなる可能性があります。

具体的には、「厚生年金保険の老齢厚生年金」や「雇用保険の失業等給付」などに少なからず影響が出る可能性がありますが、以下で詳しく解説します。

影響が出る理由

そもそも、なぜ影響が発生するのかについては、将来受け取る年金などの公的給付の金額がどのように決まるのかを知る必要があります。

例えば、厚生年金の場合、原則として「毎月の給与」をもとに年金額が決まります。多くの給与を受け取っている人は、多くの保険料を支払い、将来受け取る厚生年金も多くなります。一方、給与が少ない人は、保険料の支払いも少なくなり、将来受け取る厚生年金も少なくなる仕組みです。

これは、民間の生命保険や自動車保険で「大きな保障を求めれば保険料も高くなる」という仕組みに似ており、社会保険においても「給付」と「負担」は比例の関係にあります。

はぐくみ企業年金の導入にあたっては、既存の給与の一部を「前払い退職金」に変更し、従業員一人ひとりがその「前払い退職金」の受け取り方を選択できる「前払い退職金制度」を導入します(*1)。

従業員は、この「前払い退職金」の範囲内で、

  • 毎月の給与として受け取る(前払い退職金として受け取る)
  • はぐくみ企業年金の掛金として積み立て、将来年金や退職金として受け取るという選択ができる

ようになります。

仮に「はぐくみ企業年金の掛金として積み立てる」ことを選択した場合、毎月受け取る給与はその分減少します。これにより、毎月納める社会保険料も減少し、結果として将来受け取る公的年金やその他の公的給付も減ることになるのです。

なお、はぐくみ企業年金は確定給付企業年金に分類される制度ですが、このような仕組みや制度を「選択制確定給付企業年金」といいます。

*1:「前払い退職金制度」の整備がない場合、はぐくみ企業年金の加入業務を行なっている株式会社ベター・プレイスにて制度設計などのサポートを行っています。
*2:上記の掛金原資について、すべてをはぐくみ企業年金の掛金にする必要はありません。加入者(従業員や経営層)は、この原資の一部を掛金にしたり、残りを(多くの場合直近の)給与と一緒に受け取るといった選択を選べるようになります。
※はぐくみ企業年金(確定給付企業年金)そのものに社会保険料を軽減する優遇措置はありません。これらの効果は、「前払い退職金制度」を通じて副次的に生じるものです。

具体的な影響範囲と試算

具体的な影響範囲について、「①厚生年金保険」と「②健康保険・雇用保険」のケースについて紹介します。

どちらも「加入者年齢30歳(給与月額26万円)の方が毎月2万円の掛金拠出をした場合」の試算例になります。

①厚生年金保険の場合

<計算例>加入者年齢30歳(給与月額26万円)の方が毎月2万円の掛金拠出をした場合

保険名 給付金種類 1年あたり減額見込額(*1)
1年間積み立てた場合 10年間積み立てた場合 30年間積み立てた場合
厚生年金保険 老齢厚生年金 1,315円 13,154円 39,463円

*1:厚生年金から給付される毎年の老齢厚生年金給付金額のうち、はぐくみ企業年金への加入期間に応じて、上記額が減少します。
※老齢厚生年金の額を基準に支給される障害厚生年金や遺族厚生年金においても、給付額が減少する可能性があります。
※上記減額見込額は、2024年4月現在での根拠法令(厚生年金保険法)に基づき、計算しております。

②健康保険/雇用保険の場合

<計算例>加入者年齢30歳(給与月額26万円)の方が毎月2万円の掛金拠出をした場合

保険名 給付金種類 減額見込額(*1)
健康保険 出産手当金 447円(1日あたり)
疾病手当金 447円(1日あたり)
雇用保険 育児休業給付金(育児休業開始日から180日目まで) 446円(1日あたり)
育児休業給付金(育児休業開始日から181日目以降) 333円(1日あたり)
介護休業給付金 446円(1日あたり)
基本手当(失業手当) 231円(1日あたり)

*1:厚生年金から給付される毎年の老齢厚生年金給付金額のうち、はぐくみ企業年金への加入期間に応じて、上記額が減少します。
※上記減額見込額は、2024年8月現在での根拠法令(健康保険法、雇用保険法)に基づき、計算しております。

法人側のデメリット

つづいて、会社や法人からみたデメリットについて解説します。

【デメリット①】基金事務局へ届出など事務上の手間が発生する

加入者となる従業員が入社したり、加入者である従業員が休職や休業、退職された場合、はぐくみ企業年金事務局に届出など事務上の手続きが必要になります

また、手続きの中には、法令に基づいて、定期的に提出や確認が必要な書類もあります。

届出の内容は事由(理由)によってさまざまですが、社内で事務上のオペレーションに影響が出る可能性があります。

備考

企業年金基金の中には、現在でも届出などの手続きを郵送(書類)で行うケースが多くありますが、はぐくみ企業年金の場合、Excel(エクセル)などデータでの届出も可能です。

また、株式会社ベター・プレイスが提供する企業年金DXツール「はぐONE」を利用いただくことで、届出の手続きを効率的に行えるようになります

【デメリット②】会社の追加負担が発生する可能性がある

加入者の掛金は元本が保証されますが、仮にある計算基準時点(*1)において掛金の積立不足が発生してしまった場合、会社が不足分を補填する必要が出てくる可能性があります。

ただし、はぐくみ企業年金の場合、「複数の国内大手生命保険会社への委託運用」、安全性が高い一般勘定を中心とした「資産保全性の高いポートフォリオ」、さらに積立不足が発生しにくい「キャッシュバランスプラン」によって限りなくリスクを抑えているため、積立不足が発生する可能性は極めて低い状況です。

不明な点については、はぐくみ企業年金の導入・継続をサポートする株式会社ベター・プレイスまでご相談・お問い合わせください。

*1:日本の確定給付企業年金制度では法令に基づき、5年に一度、基金の財政状況を再度計算することが求められています。上記の再計算時に掛金の積立不足が発生している場合、加入している企業が不足分の掛金を負担をすることになります。

まとめ

はぐくみ企業年金は、従業員、経営者や役員、会社や事業所それぞれに多くのメリットが生まれる制度ですが、デメリットもあります。

あらかじめこのような点についても理解したうえで、導入をご検討ください。

 

はぐくみ企業年金は、確定給付企業年金制度であり、企業の従業員の福利厚生の充実および将来の資産形成の自主的な努力を支援する制度です。 株式会社ベター・プレイスでは、はぐくみ企業年金の設立趣旨にのっとり、加入推進活動(制度紹介・説明)を実施しております。
[免責事項および注意事項]
  • 株式会社ベター・プレイスが実施するはぐくみ企業年金の加入推進活動は、はぐくみ企業年金の加入企業および加入者の社会保険料などの軽減効果を保証するものではありません。また、上述の効果については、選択制確定給付企業年金の性質上、副次的に発生するものであり、株式会社ベター・プレイスでは、予めその効果(およびデメリット)について説明を行っています。
  • 加入者自身が選択した掛金額に応じて、毎月の社会保険料や将来の保険給付の計算をするときに用いる社会保険料の等級(標準報酬月額)に変動が起こる場合があります。 仮に社会保険料の等級が1等級下がる場合、毎月の社会保険料が下がる一方、加入1年あたり年額1,315円程度、老齢厚生年金が減少します。(老齢厚生年金の額を基準に支給される障害厚生年金や遺族厚生年金においても同様です。)
    また、健康保険から支給される傷病手当金、出産手当金、雇用保険から支給される基本手当(失業手当)、育児・介護休業給付金等も減少します。(ただし、国民年金からの給付額には影響しません。)
    例)月2万円の掛金(社会保険料の等級が1等級下がることを想定)を10年続けた場合、生涯で受け取る厚生年金受給額は、合計で290,000円程度減少します。
    ※65歳から87歳(女性の平均寿命:令和4年簡易生命表:厚生労働省発表)までの22年間、年金を受給するケース
    ※上記は2024年1月時点の制度および情報をもとにした金額です
  • 以上の事項につきましては、株式会社ベター・プレイスより、制度加入以前に企業・従業員への説明を徹底して実施しております。

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