福利厚生特集

【年代別も】人気の福利厚生ランキング!ユニークな事例も紹介

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理想的なキャリアパスを実現するためには転職もいとわない方が増えた現代では、どこの企業も優秀な人材の獲得および定着に頭を悩ませているでしょう。

特に多くの人が企業の魅力度をはかる指針としている「福利厚生」を充実させることは、目下の課題です。

そこで当記事では、人気の福利厚生をランキング形式でまとめました。

どのような福利厚生を導入するべきか検討している総務担当者や人事担当者、経営層の方はぜひご一読ください。具体例もご紹介しているので、人材の獲得と定着に効果的な福利厚生がよく分かります。

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人気の福利厚生ランキング上位10

こちらは、20~50代の従業員(全国の20~50代の働く男女3,760名を対象)に聞いた人気の福利厚生ランキングです。

労働環境の改善を手掛ける株式会社OKANによる『withコロナで変化する「働くこと」に関する調査(2020年度)』のデータを基にまとめています。

まずは、表でざっくりと人気の福利厚生を確認しましょう。

従業員が求める福利厚生ランキング(2020年度)
順位 福利厚生の内容 割合
第1位 特別休暇 73.2%
第2位 慶弔支援 71.2%
第3位 ファミリーサポート 68.1%
第4位 ヘルスケアサポート 67.2%
第5位 住宅手当・家賃補助 64.8%
第6位 自己啓発支援 64.8%
第7位 介護支援 63.2%
第8位 財産形成支援 61.7%
第9位 子育て支援 61.6%
第10位 保険サポート 60.1%

出典:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%

株式会社OKANでは同様の調査を2019年度にも実施していますが、コロナ前後の調査ということもあり、結果は大きく変化。

「特別休暇」を重視する人は前回調査でも41.3%で3位と高めでしたが、今回はさらに高まり73.2%で1位になっています。同様に「慶弔支援」も前回は21.7%で10位だったのが、今回は71.2%で2位と大幅にランクアップしました。

そのほか特徴的なところとしては、以下のような変化が見られます。

  • 前回2位「食堂・昼食補助」と8位「宿泊施設等の割引」は10位圏外に
  • 前回ランキング圏外の「ファミリーサポート」が3位、「保険サポート」が10位に

外出の自粛が求められたコロナ禍では当然といえますが、会社をはじめ外出先で使える福利厚生は人気がダウン。反対にプライベートの充実や家庭に関する福利厚生を求める声が強くなっています。

2020年に比べれば制限が緩和された現在ですが、生活スタイルの変化が長期にわたったことは人々のワークライフバランスに対する意識を大きく変えました。今後どれほどコロナ禍前の生活に戻ったとしても、プライベートに重きを置いた福利厚生に魅力を感じる方の割合は大きく変わらないと予想されます。

以下では、ランキング順に各福利厚生を導入するメリットや具体例を挙げています。人材の獲得や定着をねらった福利厚生を作成するうえで、お役立てください。

【人気の福利厚生ランキング】
第1位:特別休暇

「特別休暇」とは、法定外休暇とも呼ばれるように法律上で定められたものではない休暇全般を指します。休暇日数や取得要件など内容を自由に決められるのが特徴です。

企業で完全にオリジナルの休暇制度を設けるほか、「産前・産後休業」や「育児休業」など法定休暇の期間をさらに延ばし充実させる方向性で休暇制度を設ける企業もあります。

メリット

特別休暇の導入により得られるメリットは、主に従業員のモチベーションアップおよび維持です。

手当を盛り込まない休暇制度であれば運用コストもさほどかからず、企業規模を問わずに導入しやすい福利厚生であることもメリットだといえます。

「ペットに関係する事業だからこそペット休暇を」「結婚に関係する事業だからこそ家庭サポート系の休暇制度を」など、事業内容や企業風土の特色を盛り込みやすく、他社との差別化も図りやすいでしょう。

注意点

特別休暇は、従業員が使いやすい制度であってこそ魅力的な福利厚生だといえます。

気軽に休暇が取得できるように余裕のある従業員数を確保することは、最低条件です。「休暇すると復帰しづらくなる」「評価が下がる」など、休暇取得を妨げる要因を排除する必要もあります。

具体例

  • リフレッシュ休暇
  • アニバーサリー休暇
  • キャリアアップ、スキルアップ休暇
  • ボランティア休暇

特別休暇の内容は、主にリフレッシュ休暇やアニバーサリー休暇など「仕事の報酬」として構成されるのが一般的です。勤続歴に応じた休暇制度は、特にそのような趣旨が強いでしょう。

「結婚休暇」や「育児休暇」など従業員のプライベートに寄り添う要件にすると、「働きやすい環境を整える」ための趣旨を強めることもできます。

そのほかでは、「理想的なキャリアパスのサポート」につながる休暇制度を設ける企業も少なくありません。

【人気の福利厚生ランキング】
第2位:慶弔支援

「慶弔支援」とは、従業員やその家族にお祝い事もしくは万が一のことがあった際に活用できる福利厚生を指します。一般的には「慶弔見舞金」として、手当を支給する内容の福利厚生を設ける企業が多いでしょう。

コロナ禍によって在宅勤務が増えた企業では、対象者の減った通勤や食事に関する手当を削り、その分を慶弔支援に回すケースがよく見られます。

メリット

慶弔支援が手厚い企業ほど従業員を大切にしている印象が増し、企業評価が高まります。

昨今であれば「コロナ感染時の慶弔支援制度を整備した」企業があったように、状況に応じた制度を迅速に整備する企業は特に従業員から好印象を得やすいでしょう。

注意点

慶弔支援は、見舞金の支給以上に休暇を求める声が上がっています。制度の魅力度を高めるのであれば、「見舞金+特別休暇」をセットとした構成を検討するのがよいでしょう。

なおあまり高額な慶弔見舞金は給与扱いになり、企業としては福利厚生費扱いにできず、従業員にも所得税が課されてしまうのでご注意ください。

具体例

  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 死亡弔慰金
  • 傷病見舞金
  • 災害見舞金

ライフイベントやトラブルのなかでも一大事のときに慶弔見舞金を支給する内容の福利厚生が一般的です。しかしなかには、「誕生日祝い金」や「新婚旅行手当」などプライベートの充実を図った慶弔支援も見られます。

【人気の福利厚生ランキング】
第3位:ファミリーサポート

「ファミリーサポート」とは、従業員とその家族を支えるための福利厚生全般を指します。

家族が安心して暮らすための手当や補助金、従業員と家族の関係を良好に保つための休暇制度など、具体的なサポート内容は企業によってさまざまです。

メリット

ファミリーサポートを充実させることは、人材の定着に大きく貢献してくれます。

核家族化や共働き世帯が増加している現代では、ライフステージが変化しても働きやすい環境であることが人材の定着において非常に重要となったためです。

注意点

ファミリーサポートは、常に従業員のニーズに則った内容であることが求められます。すでにファミリーサポートを導入している企業は、制度が形骸化していないかを確認しましょう。

また現在は昔に比べて家族形態が大きく変化しただけでなく、多様化しているのも特徴です。定型的な既婚者世帯のみならず、シングルペアレント世帯をはじめとしたさまざまな世帯で活用しやすい制度を検討しましょう。

具体例

  • 家族の病気、けが時の休暇および補助
  • 学校行事のための休暇
  • 入園や就学費用の補助
  • 家族の健康診断や健康増進サービスの補助
  • 配偶者の出産サポート休暇
  • 不妊治療の補助

病気やけがを予防するための制度や、万が一のときがあったときの制度はこれまでも多く見られた福利厚生です。

近年は万が一のときのみだけでなく、出産準備から家事、育児、家族とのコミュニケーションなど、さまざまなシーンを想定した制度を複数導入する企業が増えています。

【人気の福利厚生ランキング】
第4位:ヘルスケアサポート

「ヘルスケアサポート」に関わる福利厚生とは、健康の維持および増進のために作成された制度全般を指します。人間ドックや健康診断の補助がポピュラーですが、食事補助による食生活の改善、社内の取り組みによる運動習慣づくりの促進などサポート内容はさまざまです。

近年は肉体面だけでなく、精神面のケアサポートにも重きを置く企業が増えてきました。

メリット

ヘルスケアサポートは、人材獲得率および定着率の向上において、昨今は特に欠かせない要素だといわれています。平均寿命が延びた分、健康寿命との差が広がり「長寿リスク」という言葉も生まれた現代だからこそ、多くの人々が健康に対して強く意識するようになったためです。

制度の内容によっては、生産性の向上も期待できます。

注意点

制度の導入後は、利用率や利用者満足度をはじめとした効果検証を定期的に実施しましょう。日ごろから利用できる制度を導入したのであれば、なおさらです。

検証結果は制度の改善に役立てるのはもちろん、データとして公式ホームページに掲載することで福利厚生について正当な評価を受けやすくなるでしょう。

具体例

  • 人間ドック、健康診断の費用補助
  • カウンセリング費用補助
  • 定期的なストレスチェック
  • ジムの費用補助
  • 社内にトレーニングルームを設置
  • 社内食堂、オフィスコンビニの設置

病院やジムにかかる費用を補助する制度を導入する企業は多いですが、なかには「がん検診の費用補助」や「禁煙手当」といった特定のケースを対象とした制度を導入する企業も見られます。

また生活習慣の改善を促進するため、日ごろから従業員が利用できるトレーニングルームや社食に力を入れる企業も少なくはありません。

【人気の福利厚生ランキング】
第5位:住宅手当・家賃補助

「住宅手当」とは、家賃補助をはじめ、従業員の住居に関する補助金全般を指します。

同一労働同一賃金を実現するためにはコスト負担が非常に大きく、近年は住宅手当が削減される傾向にあるといいますが、従業員からは人気の高い福利厚生であることには変わりありません。

メリット

住宅手当は生活の安定性に直結する福利厚生であるため、人材の獲得および定着に大きく貢献してくれます。

前述したとおり住宅手当のある企業は減っている傾向にあるため、他社と一線を画すアピールポイントにもなり得るでしょう。

注意点

住宅手当はコンスタントに支給が発生するうえ、基本的には給与所得区分となり課税対象です。得られるメリットと負担がつり合っているかは、よく検討する必要があります。

また従業員の年齢層や家族形態の比率が若く、独身者が多い場合には、住宅手当を付けるよりもその分を給与に充てたほうが満足度アップにつながる傾向もあります。

具体例

  • 家賃補助
  • 社員寮、社宅
  • 引っ越し費用の補助

住宅手当には家賃補助のほか、社員寮や社宅の用意、引越し費用の補助が挙げられます。いずれにしてもオフィス近隣に住まいを構えてもらいたい企業ほど費用対効果がよく、検討する価値があるでしょう。

一方、テレワークが活発な企業であれば、住宅手当よりも「在宅勤務手当」として通信費や光熱費を補助する制度が適しているケースもあります。

【人気の福利厚生ランキング】
第6位:自己啓発支援

「自己啓発支援」に関する福利厚生とは、そのまま自己啓発につながる取り組みを助ける制度のことです。

一般的には、導入企業におけるキャリアアップやスキルアップにつながる資格取得や研修をサポートする内容の制度が多いでしょう。なかには他社への転職や副業を勧める内容の制度もあります。

メリット

自己啓発支援制度の導入は従業員の教育につながるほか、向上心や自立心の強い優秀な人材の獲得率を高めてくれるでしょう。

特に若年層は失敗を恐れる慎重派が多い反面、転職を伴うキャリアパスを歩むことに積極的な方が多い特徴を持っています。入社後も豊富なキャリアパスを選べることに対し、安心感を持ってもらいやすいでしょう。

注意点

制度を導入する目的を明確にしましょう。

たとえば「離職率の高い業界だからこそ、復職しやすい環境を整えたい」といった考えから、「転職を伴う長期休暇制度」を自己啓発支援として設けている企業もあります。

教育を目的とした導入であっても「実用的な資格取得者を育てたい」のか、「社風に合った人材を育てたい」のかなど、目指すビジョンによって適した内容は異なるでしょう。

具体例

  • 資格取得の費用補助
  • 合格報奨金
  • 資格取得者の給与に資格手当を付与
  • 研修プログラム
  • スキルアップを目的とした休暇

生産性の向上を目的として、資格取得を促進する福利厚生や研修プログラムを手厚くする企業が現在は多くあります。人材不足に悩む企業が増えているからこそ、人材育成に力を入れ、従業員一人ひとりの生産性向上に取り組んでいるのでしょう。

また先にも触れたとおり、転職が活発化している現代だからこそ休職や離職後の復帰率を高めるための休暇制度を整える企業も増えてきています。

【人気の福利厚生ランキング】
第7位:介護支援

介護費用の補助や休暇といった「介護支援」は、高齢社会が続く間は需要が衰えることのない福利厚生だといえるでしょう。

実用性を重視とする反面、目立たない制度が多いためか、結婚や育児といったファミリーサポート系の福利厚生に比べると導入が遅れている傾向にあります。

メリット

介護に伴う離職者を減らすためには、必要不可欠な福利厚生だといえるでしょう。

介護や看護を理由として離職する方の人数は年々増えています。介護離職者数は45歳以降から増え始めるため、介護支援を導入することは、特に中年層以降の従業員の定着率を高めるのに効果的でしょう。

注意点

近年、介護支援制度を導入している企業は非常に多い反面、利用者率は全体的に低いのが現実です。

介護支援制度の充実だけでなく、周知を徹底するほか、十分な従業員数を確保するなど制度を利用しやすい環境づくりも同時に行うことが大切です。

具体例

  • 介護休業、介護休暇
  • 働き方の選択制度(在宅勤務、時短勤務、フレックスタイム制など)
  • 介護費用の補助
  • 介護手当

育児・介護休業法の定める範囲で制度を設ける企業のほか、法制度をさらに拡充した企業独自の制度を設ける企業もあります。

また仕事と介護の両立を助けるための相談窓口を用意することで、介護支援制度の利用につなげられる環境を整えている企業も増えてきています。

【人気の福利厚生ランキング】
第8位:財産形成支援

新卒入社から定年退職まで勤め上げることが常識でなくなった現代では、内部保留による従来の退職金制度に重きを置く方が減りつつあり、その代わりに「財産形成支援」制度に注目する方が増えています。

ランキング順位としては8位ですが、これは日本において個人による資産運用がまだ根付いていないためでしょう。

近年は「老後2,000万円問題」が騒がれたほか、国を挙げて金融教育を推進する流れとなっているため、財産形成支援関連の福利厚生の重要度は今後増していくと考えられます。

メリット

従来の退職金制度の導入率および支給金額が年々下がっている現代だからこそ、財産形成支援制度の導入は他社との差別化に効果的です。人材の獲得率や定着率を高めてくれるでしょう。

また利用する制度によっては掛金を損金に算入できるため、税金の軽減効果も得られます。

注意点

財産形成支援は導入する制度によって仕組みが大きく異なります。仕組みの違いにより企業や従業員にかかる負担は異なるため、自社に合う制度の見極めは慎重に行いましょう。

また従業員に制度を理解してもらえるようにパンフレットを配布する、説明会を開く、相談窓口を設けるなどの取り組みも実施したいところです。

具体例

  • 確定給付企業年金(DB)
  • 企業型確定拠出年金(DC)
  • 退職金共済
  • 財形貯蓄制度(一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄)
  • 株式累積投資制度(るいとう)

財産形成支援を目的とした制度はこのほかにも多数ありますが、それぞれメリットと注意点が異なります。以下の記事もご覧いただき、自社にマッチした制度をご選択ください。

おすすめの制度は「はぐくみ企業年金」

はぐくみ企業年金は、現在、導入企業や加入者が急増している注目の退職金制度です。
選択制などの制度設計により、掛金拠出の会社負担を抑制できるなど、従業員、経営者、会社そえぞれにメリットが生れるとてもおすすめの制度です。

まとめ記事で11の選択肢を紹介

こちらのまとめ記事で、退職金制度の選択肢を11件まとめて紹介しています。
他の制度のメリットやデメリットを体系的に比較・検討することができます。

【人気の福利厚生ランキング】
第9位:子育て支援

ランキング第3位のファミリーサポートと通じる「子育て支援」ですが、別枠でランキングに上がるほど仕事と育児の両立を重視している方が多いのでしょう。

メリット

子育て支援制度の導入は、すでに子どもを持つ従業員の定着率を高めるだけでなく、これから子どもをもうけたいと考えている求職者への大きなアピールポイントになります。

現代はキャリアを積みたいと考える方が性別問わずに増えていますが、そのための環境整備はまだまだ未熟と言わざるを得ず、結果として休職によるキャリアの中断を選ぶ方は少なくありません。福利厚生で子育て支援を充実させることは、長期勤続希望者や向上心の高い優秀な人材の獲得にもつながりやすいでしょう。

注意点

育児がキャリアの妨げにならない仕組みづくりこそ、理想的な子育て支援といえます。仕事と育児を両立しやすい環境を整えるだけでなく、休職しやすく復職もしやすい環境づくりを目指しましょう。

事業内容や職場状況によって適した制度は大きく異なるため、従業員に寄り添った実用的な制度を盛り込むことが大切です。

具体例

  • 産前産後休暇、育児休暇、休業
  • 復職制度
  • 働き方の選択制度(在宅勤務、時短勤務、フレックスタイム制など)
  • 入園や就学費用の補助
  • 病児保育補助、休暇

働き方改革を推進している先進的な企業ほど、育児・介護休業法に定められた内容よりも手厚く、多様な福利厚生を取り入れている傾向にあります。

【人気の福利厚生ランキング】
第10位:保険サポート

会社の福利厚生における「保険サポート」とは、主に法人保険の整備を指します。

保険サポートは2019年度はランク外であったのが、2020年には子育て支援や財産形成支援とほぼ変わらない数字で10位に挙がっているのが特徴的です。財産形成支援同様に老後の準備の一環として、保険サポートに注目している方が増えているのでしょう。

メリット

保険サポートの導入メリットは、人材の獲得率や定着率の向上です。

特に養老保険は退職金制度の代わりとしても活用できるため、財産形成支援の福利厚生に近い効果を得られます。

掛け捨て型の医療保険であっても従業員に在職中の生活保障を与えることは、会社に対する信頼性や安心感の向上につながるでしょう。

注意点

保険は種類によって補償範囲や保険料がさまざまです。保険料は全額もしくは半額を損金計上できるとはいえ、自社に合った商品を選ばなくては経営を圧迫する恐れがあるでしょう。

特に「退職金制度の代わりにもできる」ことを大きな魅力として捉えているのであれば、要注意です。保険商品だけでなく財産形成支援に活用できる制度とも比較し、メリットと負担のつり合いを検討しましょう。

具体例

  • 法人保険(生命保険、損害保険)

保険サポートと具体的にいえる福利厚生は、法人保険の導入のみです。

しかし前述したように法人保険は企業のコスト負担が大きいため、導入しているのは大手企業もしくは病気やけが、損害リスクの高い事業を運営する企業が主となっています。

コストを減らしたい場合には、従業員の健康に関してはヘルスケアサポート制度、万が一のときや退職時の備えには財産支援形成制度の導入を検討しましょう。

性別/年代別の福利厚生ランキング

ここでは、性別と年代に分けた福利厚生ランキングをご紹介します。性別や年代ごとに人気傾向を見極めることで、自社に導入すべき福利厚生の方向性を定めましょう。

ランキングに使用するデータは、こちらも株式会社OKANによる『withコロナで変化する「働くこと」に関する調査(2020年度)』を反映しています。

20代~50代男性の福利厚生ランキング

20代男性 30代男性 40代男性 50代男性
第1位 特別休暇 特別休暇 ファミリーサポート 特別休暇
第2位 住宅支援 ファミリーサポート 特別休暇 慶弔支援
第3位 慶弔支援 慶弔支援 慶弔支援 ファミリーサポート
第4位 ファミリーサポート 住宅支援 ヘルスケアサポート ヘルスケアサポート
第5位 食事補助 自己啓発支援 住宅支援 自己啓発支援

出典:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%

ランキング結果から推察するに、働く男性の大半が魅力的に感じる福利厚生は「特別休暇」だといえるでしょう。特別休暇は手当を設けない限りは運用コストもさほどかからないため、福利厚生を充実させる第一歩として取り組むのにも最適です。

そのほか年代別の人気傾向は、以下をご覧ください。

年代別の人気傾向

20代男性

独身者が多く、住宅支援や食事補助といった生活費に関わる内容を求める。

30代男性

既婚者が増えるほか具体的なキャリアビジョンを持つ方が増え、ファミリーサポートや自己啓発支援の人気が高まる。

40代男性

子持ちの割合が多くファミリーサポートが特に人気になるほか、健康意識が高まりヘルスケアサポートの需要も増加。

50代男性

子どもの手が離れつつある年代であることから第2の人生を意識し始める方が増え、プライベートと仕事の両面が充実する福利厚生を求める。

20代~50代女性の福利厚生ランキング

20代女性 30代女性 40代女性 50代女性
第1位 特別休暇 特別休暇 特別休暇 ヘルスケアサポート
第2位 慶弔支援 慶弔支援 慶弔支援 慶弔支援
第3位 子育て支援 ファミリーサポート ヘルスケアサポート 特別休暇
第4位 ヘルスケアサポート 子育て支援 介護支援 介護支援
第5位 住宅支援 ヘルスケアサポート 自己啓発支援 財形貯蓄支援

出典:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%

女性に関しても、年代を問わず「特別休暇」を求める声は多いため、福利厚生の拡充を図るのであればまずは特別休暇を検討するのがよいでしょう。

一方、女性ならではの傾向としては、次のライフステージを見据えたランキング結果になっているのが特徴的です。女性向けの福利厚生を導入する際には、長期的に安心して働ける環境づくりを特に意識する必要があります。

年代別の人気傾向は、以下をご覧ください。

年代別の人気傾向

20代女性

出産や育児を視野に入れて仕事を探す方が多いことから、子育て支援の充実した企業を魅力的と考える傾向にある。

30代女性

家事・育児と仕事の両立しやすさを重視し、ファミリーサポートや子育て支援の人気が高まる

40代女性

健康に関する意識が高まり、ヘルスケアサポートや介護支援に重きを置くようになる。

50代女性

老後について現実的に考え始めるころであり、ヘルスケアサポートや介護支援、財形貯蓄支援の有無が企業に対する信頼や安心感に直結しやすい。

ランキング上位のユニークな福利厚生の事例

ユニークな福利厚生は目を引きやすいほか、企業方針を分かりやすく具体的に伝える方法として役立てられます。

ここでは、実際に導入されているユニークな福利厚生を5ジャンルに分けてまとめました。自社ならではの魅力的な福利厚生を作成するための参考にお役立てください。

ユニークな「特別休暇」の事例

制度名 実施会社名 内容
二日酔い休暇 トラストリング株式会社 年2回まで二日酔いによる午前休暇を取得可能。
ルーラ制度 クルーズ株式会社 勤続7年の従業員に対し、5日間の休暇と旅行代金15万円を支給。
育自分休暇制度 サイボウズ株式会社 35歳以下の従業員に対し、6年間は復職を確約。

特別休暇は自由に内容を決めやすいことから、名前も内容も特にユニークな制度が多く見られます。

企業風土やブランディングに則って、従業員のモチベーションや生産性向上につながる福利厚生を検討するとよいでしょう。

ユニークな「慶弔支援」の事例

制度名 実施会社名 内容
HAPPY RICE-DAY 株式会社アドウェイズ 従業員の家族の誕生日に米を5キロと、従業員の勤務中の写真を家族に送付。
サッカー休暇 株式会社ジオコード 試合結果に応じて従業員に特別休暇を付与。
ペット慶弔金 マースジャパンリミテッド ペットが亡くなった際に見舞金を支給。

慶弔支援の福利厚生は従業員を対象としたもののほか、従業員を支えている家族までもを対象としたものの2種類が一般的です。

お祝い事に関する福利厚生は、特にバラエティに富んでいるのが特徴。誕生日や結婚記念日などプライベートな要件の制度から、企業を挙げて応援しているスポーツの試合結果が要件の制度まで幅広く見られます。

ユニークな「ファミリーサポート・子育て支援」の事例

制度名 実施会社名 内容
lily制度 株式会社ヤプリ 結婚、妊活・不妊治療、出産、育児を幅広くサポート。
次世代育成手当 さくらインターネット株式会社 子ども1人に付き13,000円を支給(子どもが20歳になるまで)。
MyWAYS 株式会社アドウェイズ 育児や介護との両立のため、勤務形態を個々でカスタマイズ可能。

ファミリーサポートや子育て支援のための制度は、出産前後だけのサポートに留まらないものが増えています。

まだまだ開拓の余地がある分野であるため、女性の活躍推進に力を入れたいのであれば先駆者の福利厚生を参考するとともに、自社だからこそ必要な制度や提供できる制度を検討するのがよいでしょう。

ユニークな「ヘルスケアサポート」の事例

制度名 実施会社名 内容
フリービタミン制度 株式会社Eyes, JAPAN フルーツを常備し、朝食抜きのデメリットを解消。
目指せ!A身体制度 株式会社サニーサイドアップ 健康診断の結果に応じた手当金を支給。
外部カウンセリング・コーチング支援 Chatwork株式会社 メンタルヘルスケアのため外部サービスを紹介。

ヘルスケアサポート関連の福利厚生は、企業から積極的に生活改善に働きかける制度のほか、褒賞を用意することで意識改革に働きかける制度の2つに分けられます。

近年は肉体だけでなく精神面のケアも重要とされていますが、すべてを自社でまかなうのは大変であるため、必要に応じて外部サービスを活用することも検討しましょう。

ユニークな「住宅手当・家賃補助」の事例

制度名 実施会社名 内容
鎌倉職住近接手当 株式会社カヤック オフィス勤務推進のためオフィス近隣に住む従業員に対し、手当を支給。
どこでも5 株式会社ウェディングパーク 勤続5年以上の従業員に対し、毎月5万円を支給。

在宅勤務の普及により住宅手当を削減する企業が増えていますが、その一方で企業風土や事業柄オフィス勤務を推進するために住宅手当を取り入れている企業もあります。

また支給要件に勤続年数を加えることで、人材定着率の向上をねらうことも可能です。

82件紹介している記事はこちら

おすすめ福利厚生/退職金制度のご案内

福利厚生でおすすめなのは、財産形成や退職金に関する制度です。
こちらでは、「おすすめ退職金制度」と「11種類の退職金制度参考記事」をご案内します。

おすすめは「はぐくみ企業年金」

はぐくみ企業年金は、現在、導入企業や加入者が急増している「確定給付企業年金」型の退職金制度です。
また、選択制などの制度設計により、事業主掛金の負担を抑制できるなど、従業員、経営者、会社それぞれにメリットが生れるとてもおすすめの制度です。
(参考記事:はぐくみ企業年金にはどのようなメリットやデメリットがあるのか?

はぐくみ企業年金と主要制度との比較

はぐくみ企業年金 企業型確定拠出年金 中小企業退職金共済
根拠法 確定給付企業年金法 確定拠出年金法 中小企業退職金共済法
任意加入 可能 可能 全員加入
加入年齢 70歳未満 70歳未満 制限なし
加入制限 役員も拠出可 役員も拠出可 役員は拠出不可
税制優遇 有り 有り 有り
社会保険料 軽減可 (※1) 軽減可 (※2) 軽減不可
掛金拠出 会社の実質的な負担抑制 (※1)
会社が負担 (※2)
(会社負担分は損金計上可)
会社が負担
(会社負担分は損金計上可)
拠出金
上限/月
1,000円~給与の20% (上限100万円)
1,000円~55,000円
※iDeCoと併用の場合、上限額が変わります
5,000円~30,000円の16段階 (※3)
運用

基金が資産を運用

加入者が資産を運用 機構 (※4)が資産管理・運用
受給額 運用成績により変動しない 運用成績により変動する

運用成績により変動しない

受取り 一時金又は年金/
但し、退職時、休職時、
育児・介護休業時にも受取り可能
一時金又は年金/
但し、原則60歳以上に制限
一時金又は分割払い/
退職後に受取り可能
※1:はぐくみ企業年金は「選択制」の採用を前提として掛金拠出します。
※2:本来、事業主が負担する掛金を、給与から切り出す「選択制」を採用して従業員が負担した場合は、軽減できる場合があります。
※3:パートタイマーなど短時間労働者の場合、特例掛金月額として2,000円から可能になります。
※4:ここでは「独立行政法人 勤労者退職金共済機構」のことを「機構」といいます。

まとめ記事で11の選択肢を紹介

こちらのまとめ記事で、退職金制度の選択肢を11件まとめて紹介しています。
他の制度のメリットやデメリットを体系的に比較・検討することができます。

 

※こちらの記事は2023年5月時点の情報を参照の上、執筆しております。
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