はぐくみ企業年金導入法人レポート
2018.12.11
費用やコストが削減できる上、辞める職員が少なくなってきています
赤い鳥保育会 ゆめの木保育園
高橋香奈先生(園長)
https://yumenoki.jimdofree.com/
社会福祉法人赤い鳥保育会様は、2018年4月、はぐくみ企業年金を導入されました。埼玉県和光市にあるゆめの木保育園では、たくさんの職員の方にはぐくみ企業年金にご加入いただいています。
今回は高橋香奈先生(園長)にお話をお伺いしました。
――髙橋園長ご自身が加入を決められた動機はどのようなことでしたか?
説明を受けた時に、社会保険料、特に健康保険料が減らせる、という点が大きいなと思いました。いちばん印象に残ったのが、健康保険料はたくさん払ったとしても、どこの病院にかかっても3割負担は変わらないですよね、という話を聞いて、なるほどそうだ、と思った点です。
――9月に新しい社会保険料の等級が適用となり、10月分の給与から反映されているのですが、節減の効果は実感されましたか?
はい、今までは、住民税の方が低かったのですが、それが逆転して社会保険料が大きく減っていました。職員にも、「はぐくみ企業年金に入ったことで、社会保険料と所得税が減った分、手取りが増えたんだよ」と簡単に説明しました。職員もメリットを実感していると思います。
――積み立てを始めたことで、毎月の手取り額は減ってしまうのですが、そのことについて職員の皆さまの反応はいかがですか?
手取りが減ったからやりくりがたいへん、ということは特に聞いていません。
――こちらの保育園は、職員の方の年齢構成はどのようになっていますか?
ほぼ全員が20代で、30代が1人です。
――20代という若い職員全員が加入を決めたことにとても驚いたのですが、なぜ皆さま加入されたのでしょうか?
職員たちの感覚からいえば、将来のための積み立てというよりは「使っちゃうから先に引いてもらって貯めた方がいいな」という感じだと思います。
――若いうちから積み立てを始めると、社会保険料を減らしつつ、長く勤めることで、3年に一度の分配金を受け取る機会も増えるので、効率よくお金を貯められますね
分配金は、何というか、あまり期待していなくて、それがあるから加入したのではなく、自分で毎月お金を貯めていくことのために、みんな加入したと思います。分配金の話を聞いたときは少しは期待もしましたが、それは水物です。そこに期待してもうける、という風には考えないでほしいな、と思います。
――分配金をあてにするのではなく、こつこつ貯めていくことをより重視されていらっしゃるんですね。はぐくみ企業年金に対するご希望や、こうして欲しいという改善点はありますでしょうか?
積み立ては毎月定額なので、自分でも金額は分かりますが、実感がないので、何か確認できるものがあるとさらにうれしいな、という声が職員からありました。
――その点は、よくご要望頂きます。12月末時点での積み立て額を、翌年1月か2月にお知らせしますので、それで確認していただけます。はぐくみ企業年金に加入して仕事が増えた、とか面倒だとかありましたか?
育休から復帰した職員がいましたが、4月分から加入して、手続きとして特に問題はなかったです。当初は職員に説明するのに時間がかかりましたが、みんなもだんだんわかってきて、その意味では負担というほどではなくなってきています。
こちらの保育園では、職員の定着率はいかがですか?
退職者は、おととしが2人か3人で、去年はゼロでした。和光市にはもう一つ、あすの木保育園がありますが、2園とも、ここのところ辞める職員が少なくなってきています。職員の雰囲気も悪くないな、と思っています。
――去年は退職した方がゼロですか?
はい、おかげさまで去年はだれも辞めませんでした。うれしかったです。
――それはすばらしいですね。一般的に、保育士は離職率高く、入れ替わりが激しいと聞きますが、こちらでは皆さま長く勤務されるんですね。定着率が高い理由はどんなことだとお考えですか?
一つは、年功序列じゃないということでしょうね。たとえば、主任、リーダーの人選は、年齢や経験ではなく、どの職員を主任やリーダーにしたら、職員本人はもちろん、園にとっても、他の職員にもメリットがあるかという点から選考します。今年の幼児クラスは子供が80人で担任が8人いるんですけど、そのリーダーは、2年目の職員です。主任も3年目の職員です。担任の中には8年目9年目、10年目の先生もいますが、彼らから「2年目なのに…」というような声はありません。
――それはいいことですね。若くしてリーダー的な役目になって、先輩もそれを盛り立てるという組織風土になっているということでしょうか?保育士としてのチームワークができているのでしょうか?
2年ほどその任に当たって交代します。保護者の対応などもあるので誰でもできる、というわけではないが、主任じゃなきゃ、とか園長じゃなきゃ対処・解決できない、というケースは、ほんとにごくわずかだと思います。基本は現場の保育士、主任も含めてですけど、何年目とか、先輩だから、後輩だから、とかは関係なく、誰でも、お互いに支えあっていく仕組みになっていると思います。
――すばらしいですね。あらゆる職場で、それを成し遂げたいと目指しながら、なかなか実現
できなくて苦労しているのに、こちらではそれが定着しているんですね
保護者の方も、主任が3年目の職員でも「えっ!?」という反応はなく、理解して下さる。もう慣れているんですかね、そういうことに。法人全体としてもそういう流れ、というか体制になっていると思います。
――若い保育士の方が主任やリーダーになることに対して、保護者の方も受け入れる下地が既にできているんですね。そうしたことも、職員の方が辞めないことにつながっているのでしょうか?
それは大きいと思います。
――風通しが良くて、皆さん誰とでもオープンに話ができるからなのでしょうか?
そうですね。風通しは良くすることを心がけていますね。
保育の現場では、職員同士もそうですし、大人と子供の関係で、大人が感情的になってしまった時に、それを見てくれる他の先生たちがいないと、大変なことにつながってしまう。密室になってしまうと、何かが起こった時にだれも気付かないことになりかねません。物理的な意味でも部屋はオープンにしていますし、仕切りがないんです。ロッカーとか着替える部屋もないです。お互い見守る、目が届くように、と個室にはしていません。
――ほんとに素通しで壁やパーティションが全然ないですね
子供の叱り方、ほめ方をお互い指摘したりほめ合ったり、こういうことは直接言う、とか、その日のうちに解決する、とか、そういうことが職員同士、だんだん自分たちでできるようになっています。
――職場環境が良くて働きやすいから、退職する方がいないんですね。保育士の方に多いといわれる持ち帰り残業の問題はどう対処されていますか?
ありがたいことに、子供たちのためにいろいろやってくれる職員が多くて、こうしたい、と自分からやってくれています。勤務時間内に、行事の仕事などもこなすよう、工夫しローテーションしたり、相談しながらできるだけその時々の対応を決めていくようにしています。組織として残業は美徳にはなっていないですし、より良い保育のために過重な残業はしないように、残業の管理という点では、園長として、もっとやれることがあるかなと思っています。
組織のあり方、職場環境、という観点からも、今日はとても興味深いお話しをお聞きすることができ、たいへん勉強になりました。お忙しい中、どうもありがとうございました。